【映画コラム】林業の“入門映画”『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~』
2014年5月10日
安易な気持ちから林業の世界に飛び込んだ都会育ちの若者の成長と淡い恋をコミカルに描いた『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~』が10日から公開された。
本作を監督した矢口史靖は、男子高校生がシンクロナイズドスイミングに挑む『ウォーターボーイズ』(01)、女子高校生がスイングジャズのビッグバンドを結成する『スウィングガールズ』(04)を経て、『ハッピーフライト』(08)では飛行機のフライトスタッフを、『ロボジー』(12)ではロボット開発の技術者を描いた。
これらの映画に共通するのは、主人公が図らずも関わった世界に夢中になっていく様子をコミカルかつスピーディーに描いている点。また、最初のうちは主人公に「この世界で頑張るぞ」といった気負いがない分、観客も彼らと一緒になって学んだり、泣いたり笑ったりしている間に、いつしか本気にさせられて、その世界の魅力にはまっていくというパターンだ。
本作の主人公の勇気(染谷将太)も、危険な重労働と過酷過ぎる山での暮らしにくじけそうになりながら、村人たちとの交流を通して人間的に成長していく。『永遠の0』(13)など出演作が目白押しの染谷が好演を見せる。
ちなみに本作の原作者は辞書の編さん作業の様子を描いた『舟を編む』の三浦しをん。昨年公開された映画版も好評を得て多くの映画賞を受賞した。矢口監督が自身初となる小説原作の映画化に本作を選んだのは、入門書的な要素を持った原作に共感したからだろう。
そんな、知ってそうで知らない仕事や趣味を扱った“入門映画”を得意とするもう一人の監督が周防正行だ。『ファンシイダンス』(89)で僧侶、『シコふんじゃった。』(91)で相撲、『Shall we ダンス?』(96)で社交ダンス、『それでもボクはやってない」(07)で裁判、『ダンシング・チャップリン』(11)でバレエを描き、その仕組みや魅力を巧みなストーリー展開の中で分かりやすく説明した。
矢口作品と比べると少し真面目な印象を受けるが、両者の共通点はそれぞれのハウツーをきちんと映像で見せてくれるところ。楽しみながらさまざまなことが学べるのも映画の大きな魅力の一つなのだ。(田中雄二)
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