【映画コラム】別次元に到達したアニメ映画『ファインディング・ドリー』
2016年7月16日
人気アニメーション映画『ファインディング・ニモ』の13年ぶりの続編『ファインディング・ドリー』が公開された。
今回は主舞台をカリフォルニアの海洋生物研究所に移し、主人公もマーリン&ニモ親子から、彼らの親友でナンヨウハギのドリーに代わり、忘れていた家族を捜すためにドリーが繰り広げる冒険を中心に描いている。
前作を見た時は、正直なところ、登場する擬人化された魚たちが何だか人面魚のように見えて、あまり感情移入ができなかった。今回も出だしはそのイメージに悩まされた。こうしたビジュアル面の違和感に加えて、初めのうちは物忘れの激しいドリーの言動にいらいらさせられる。
ところが、ビジュアルに慣れてくるのと同時に、ドリーの真っすぐな行動にほだされ始め、最後は「欠点だと思っていることも見方を変えれば個性や長所になる」という本作のテーマに納得させられてしまう。いつの間にかまんまと乗せられてしまった自分が少々照れくさくもあるが、これはアンドリュー・スタントンとアンガス・マクレーンの演出や脚本の巧みさに寄るところが大きいだろう。
ニモ親子はもちろん、新顔のタコのハンク、ジンベエザメのデスティニーといった個性豊かな脇役たちも大活躍。名女優のシガニー・ウィーバーが本人役で“声の出演”をしているのも面白いし、忘れること、思い出すことをテーマに描いた映画のラストに名曲「アンフォゲッタブル(忘れられない)」を流すところもしゃれているが、さて日本語版ではどんな処理を施したのだろうか。
本作のほかにも、『ズートピア』『ジャングル・ブック』など、最近のディズニー関連の映画は、ストーリー的にも、ビジュアル的にも突き抜けたところがあり、どこか別次元に到達したような印象を受ける。(田中雄二)
-
2016年7月10日
【映画コラム】音楽と映画の心地良い融合『シング・ストリート 未来へ... -
2016年7月2日
【映画コラム】二つの国、二人の男の間で揺れる女心を描いた『ブルック... -
2016年6月25日
【映画コラム】新感覚の心理サスペンス『二重生活』 -
2016年6月18日
【映画コラム】好きか嫌いか自分の目で確かめるべし『10クローバーフィ... -
2016年6月11日
【映画コラム】監督ジョディ・フォスターの手腕に脱帽!『マネーモンス... -
2016年6月4日
【映画コラム】“自分を変えること”の難しさと素晴らしさを描いた『サウ... -
2016年5月28日
【映画コラム】死を通して生を考える喜劇『神様メール』と『素敵なサプ... -
2016年5月21日
【映画コラム】みんなが成りたかった大人に成れるわけじゃない『海より... -
2016年5月14日
【映画コラム】無名の者たちの心意気や生きた証しを描いた『殿、利息で... -
2016年5月7日
【映画コラム】事件の背景や人間模様をじっくりと描いた『64−ロクヨン−... -
2016年4月30日
【映画コラム】再生をテーマにしたスピリチュアルなミステリー『追憶の森』 -
2016年4月23日
【映画コラム】何もかも奪われた時、人は何になるのか…『レヴェナント ... -
2016年4月16日
【映画コラム】 映画の持つ力や良心を信じてみたくなる『スポットライ... -
2016年4月10日
【映画コラム】母子役の演技のキャッチボールが素晴らしい『ルーム』 -
2016年4月2日
【映画コラム】普遍的なテーマを内包したエロチックな寓話『蜜のあわれ』 -
2016年3月26日
【映画コラム】アメリカが抱えるジレンマを如実に反映した『バットマンV... -
2016年3月19日
【映画コラム】広瀬すずの切れ味鋭い動きに魅了される『ちはやふる-上... -
2016年3月12日
【映画コラム】久しぶりに『男はつらいよ』の味わいがよみがえった『家... -
2016年3月5日
【映画コラム】橋本環奈参上! 角川アイドル映画の伝統をよみがえらせ...
