【映画コラム】 子どもたちを中心に描いた三者三様の映画『6才のボクが、大人になるまで。』『天才スピヴェット』『ショート・ターム』
2014年11月15日
14日の『6才のボクが、大人になるまで。』に続き、15日には『天才スピヴェット』『ショート・ターム』と、子どもたちを中心に描いた映画が相次いで公開された。
『6才のボクが、大人になるまで。』は、『ビフォア』シリーズなどのリチャード・リンクレイター監督が、時の流れをテーマに、6歳の少年(エラー・コルトレーン)とその家族の軌跡を、同じ俳優(イーサン・ホークほか)を使って12年間にわたって撮り続けた作品。通常の劇映画の製作形態とは大きく異なるが、ドキュメンタリーというわけでもない。そのユニークな手法が注目を集めている。
『天才スピヴェット』は、『アメリ』のジャン=ピエール・ジュネ監督が、大人顔負けの科学の知識を持つ10歳の天才少年スピヴェット(カイル・キャレット)のモンタナからワシントンへの一人旅を初の3Dで描いた。
いかにもアメリカらしい雄大な風景が映るが、ジュネ監督が「アメリカでは1カットも撮っていない」と豪語するように、撮影はカナダのケベック州とアルパータ州で行われたという。これぞまさに映画のマジックだ。
また、本作では、大自然の景観と飛び出す絵本のようなポップアートが並立する不思議な空間や、風変わりなキャラクターたちに目を奪われがちだが、実は物語の核となるのは、スピヴェットを取り巻く全ての人々が温かい心の持ち主だったというオーソドックスな手法。その落差が楽しい。スピヴェットを演じた天才子役キャレットの繊細な演技も見ものだ。
日系3世でハワイ育ちのデスティン・ダニエル・クレットン監督が、自らの体験を基に撮った『ショート・ターム』の舞台となるのは、サンフランシスコの郊外にあるティーンエージャーをケアする短期保護施設。
さまざまな問題を抱えた10代の入所者の姿と、彼らをケアする20代の若者たちの悩みをリンクさせながら、声高な主張や問題提起はせず、感情過多に陥ることもなく、淡々と描いていく。ところが、彼らを見詰める誠実で温かな視点は決してぶれない。そのバランス感覚がいい。
また、子どもたちを取り巻く悲惨で救い難い状況を、ただ深刻に描くのではなく、温かさとユーモアを絡めながら、救いを持たせている点にも好感が持てる。特にラストシーンの“ささやかな希望”が胸を打つ。
家族、親子、きょうだい、夫婦、隣人、その立場や関係の違いによっても見方が異なるであろう三者三様の映画。ぜひ見比べてみてほしい。(田中雄二)
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