【映画コラム】シーンに即したビートルズソングが聴きもの『イエスタデイ』
2016年10月1日

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1967年のノルウェー、オスロを舞台に、ザ・ビートルズに憧れ、「スネイファス」というバンドを結成した4人の少年たちの姿を追った愛すべき青春音楽映画『イエスタデイ』が公開された。
本作は、ベース担当でポール・マッカートニーに心酔するキムと転校生のセシリアとの恋を中心に描いているが、彼らスネイファスの“その後”を見せないことで、一つの時代を切り取った青春群像劇として成立している。これを見て、当時の日本の若者も似たようなものだったと思う人もいるだろう。
「僕には得意なものが何もない。ある意味それはすごいことだ」と嘆くキムが、楽天家が主人公の『その男ゾルバ』(64)を見て感動するシーンも印象に残る。音楽担当は1980年代に活躍したa-haのマグネ・フルホルメン。
オープニングのタイトルバックででいきなりラジオから流れる「シー・ラブズ・ユー」、“新譜”の「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」に興奮する4人、スネイファスが歌う「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」、フルホルメンが恋に破れたキムの気持ちを代弁して歌う「イエスタデイ」、反米デモのバックに流れる「レット・イット・ビー」といった具合に、スネイファスの日常や当時の世相に即して流れるビートルズソングが聴きものだ。
また“ビートルズが登場しないビートルズ映画”としては、1964年、ビートルズのアメリカ初上陸の騒動を田舎町の若者たちの姿を通して描いた、ロバート・ゼメキスの監督デビュー作『抱きしめたい』(78)に匹敵する面白さがある。
ところで、そのころ当のビートルズがどう過ごしていたのかは、公開中のロン・ハワード監督のドキュメンタリー映画『ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK – The Touring Years』に詳しい。両作が同時に日本で公開されたのも何かの縁。対で見ることをお薦めする。(田中雄二)
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