【映画コラム】頻発する異常気象への不安と恐怖を反映させた『イントゥ・ザ・ストーム』
2014年8月23日

(C) 2014 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED.

 アメリカ中西部のコロラド州で発生した大竜巻を背景にしたディザスター(災害)映画『イントゥ・ザ・ストーム』が22日から公開された。

 監督のスティーブン・クォーレはジェームズ・キャメロン監督の『タイタニック』(97)と『アバター』(09)で第2監督を務めた人。それ故、本作も壮大な超大作かと思いきや、そうではなかった。

 舞台をアメリカの田舎町に限定し、上映時間も約90分に抑えるなど、いい意味でB級映画の味わいが感じられるのだ。

 さらに、限られた場所で起きた災害や事故の中で多彩な人間模様を描くという、昔ながらのパニック映画の雰囲気も漂うが、スター俳優が出演していないため、まるでドキュメンタリーを見ているような気分にさせられる。

 また、ハイスクールの卒業式を控え、25年後の自分たちに向けてのビデオメッセージを撮影している主人公、竜巻の撮影を狙うストームチェーサーと呼ばれるプロ集団とアマチュアの動画投稿マニアという三者による撮影の様子を、大竜巻の襲来と交差させながら描くことで、常にカメラを携帯し、何でも撮影せずにはいられない人々の姿を浮き彫りにしていく。その点は『パラノーマル・アクティビティ』シリーズや『クロニクル』(12)などとも通じるものがある。

 とは言え、本作の一番の見どころは、やはりすさまじいばかりの竜巻を出現させた特撮にある。それはリアルな作り物ではあるが、頻発する異常気象が災害を引き起こすという現実に対する不安や恐怖を如実に反映しているとも言えるだろう。(田中雄二)

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