【映画コラム】 SFと歴史再現ドラマを融合させた『劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日』
2013年8月24日
NHKで放送中のドキュメンタリー風歴史教養番組を映画化した『劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日』が31日から公開される。
基本的な設定はテレビ版と同じ。タイムスクープ社の第二調査部に所属する“時空ジャーナリスト”の沢嶋雄一(要潤)が、タイムワープで過去に行き、名もなき人々の身の周りで起きたさまざまな出来事をリポートする。彼は特殊交渉術を用いて過去の人々と交流するが、歴史の変更には一切関知しないというもの。タイムトラベルを扱った映画やドラマは数多いが、こうした設定は珍しい。SFと歴史再現ドラマを融合させたアイデアが秀逸だ。
今回沢嶋は、安土城焼失の謎に迫る。劇場版の“サービス”としては、沢嶋が幻の茶器の行方を追って安土桃山時代と太平洋戦争下という二つの時代を訪れる点と、新人ジャーナリストの細野ヒカリ(夏帆)が沢嶋に随行し、普段は本部でサポートする古橋ミナミ(杏)も現場に現れる点が挙げられる。映画全体としてもテレビ版の2、3話分をまとめて見るようなお得感が得られる構成になっているが、例によって、織田信長、豊臣秀吉、明智光秀といった歴史上の有名人はまったく登場しない。
さて「タイムスクープハンター」シリーズの最大の特徴と言えば、ハンディーカメラを多用して撮影しているところ。カメラの揺れやブレを逆手に取って、現場リポートの臨場感や緊迫感、スピード感を表すことに成功している。このように、ハンディーカメラを使ってリアリズムや生々しさを表現するという手法を広めたのは、戦後の“広島ヤクザ抗争”を描いた深作欣二監督の『仁義なき戦い』(73)が嚆矢(こうし)とされる。その後、この手法は、映画はもちろん、テレビドラマやドキュメンタリー、バラエティー番組などに幅広く使われていった。「タイムスクープハンター」もその流れをくんでいるのだ。(田中雄二)
『劇場版タイムスクープハンター 安土城 最後の1日』
8月31日(土)新宿ピカデリー他全国ロードショー。
配給:ギャガ
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