【映画コラム】名優デ・ニーロのセルフパロディーも楽しい『マラヴィータ』

2013年11月16日 / 18:33

Photo : Jessica Forde (C)EUROPACORP- TF1 FILMS PRODUCTION – GRIVE PRODUCTIONS

 名優ロバート・デ・ニーロが、元マフィアのボスを演じた『マラヴィータ』が15日から公開された。

 フレッド(デ・ニーロ)は、敵対するボスを売ってFBIの証人保護プログラムを適用されたが、安住の地を求めて家族と共に世界各地を転々としている。一家 はフランスの田舎町に住むことになるが、カルチャーギャップに悩まされた揚げ句、彼らの居所を知ったボスが放った暗殺者に命を狙われる羽目になる。

 監督は『ニキータ』(90)、『レオン』(94)などのリュック・ベッソン、製作はデ・ニーロ主演の『タクシードライバー』(76)、『レイジング・ブル』(80)、『グッドフェローズ』(90)などを監督したマーティン・スコセッシ。妻役にミシェル・ファイファー、監視役のFBI捜査官にトミー・リー・ジョーンズという豪華な布陣だ。

  『ゴッドファーザーPARTⅡ』(74)でイタリアンマフィアのドンを、『アンタッチャブル』(87)で実在のギャングのボス、アル・カポネを、『グッドフェローズ』でニューヨークのマフィアを演じたデ・ニーロが、元マフィアのボスを演じること自体がすでにパロディーなのだが、本作は、作家に成り済ましたフレッドが、“デ・ニーロ主演”の『グッドフェローズ』を見て解説するという念の入ったセルフパロディーまで用意している。

 ちなみにマラヴィータとはイタリア語で“裏社会”を意味し、フレッド一家は愛犬にその名を付けている。という具合に、本作は激しいバイオレンスシーンも見ものだが、どちらかと言えば設定の面白さとブラックユーモアで見せるコメディーと言った方がしっくりくる。

 かつては徹底した役作りで“デ・ニーロ・アプローチ”と称された名優が、本作のほかにも、久しぶりにアカデミー賞の助演賞候補となった『世界にひとつのプレイブック』(12)や、29日から公開の『グリフィン家のウエディングノート』(13)などのコメディーで、肩の力を抜いたような父親役を演じ、少し困ったような独特の笑顔を見せる場面も増えた。

 さすがのデ・ニーロも老いて丸くなったかと思いきや、さにあらず。2014年1月11日公開の『キリングゲーム』(13)では、人里離れた森の中でジョン・トラボルタと激しいサバイバル対決を繰り広げる。もちろんスタントマンは使っているが、ベテラン俳優同士がCGではなく生身で勝負している点が見どころ。デ・ニーロが森の中で鹿を追う姿は『ディア・ハンター』(78)を思い出させる。

 さらに『世界にひとつのプレイブック』のデビッド・O・ラッセル監督作『アメリカン・ハッスル』(13)も1月31日から公開される。ロバート・デ・ニーロ、70歳を過ぎてますます盛んなのだ。(田中雄二)


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