【週末映画コラム】何と主人公がサル!? 新たな試みの音楽伝記映画『BETTER MAN/ベター・マン』/17回死んでは生き返った男の悲喜劇『ミッキー17』
2025年3月28日

『BETTER MAN/ベター・マン』(3月28日公開)

(C)2024 PARAMOUNT PICTURES. All rights reserved.

 イギリス北部の街に生まれ、祖母の大きな愛に包まれながら育ったロビー・ウィリアムズ。1990年代初頭にボーイズグループ「テイク・ザット」のメンバーとしてデビューし、ポップスターの道を駆け上がっていく。

 グループ脱退後もソロアーティストとして活躍し、イギリスのポップス界を代表する存在へと成長。しかしその裏には、名声と成功がもたらす大きな試練が待ち受けていた。

 『グレイテスト・ショーマン』(17)のマイケル・グレイシー監督が、イギリスの世界的ポップ歌手ロビー・ウィリアムズの波乱に満ちた人生を、斬新な映像表現でミュージカル映画化。

 主人公ロビーを全編サルの姿で表現するという奇想天外なアイデアと幻想的な世界観、そして圧巻のミュージカルシーンでダイナミックに描く。

 同じく『グレイテスト・ショーマン』のアシュレイ・ウォーレンが振り付けを担当。本作のために制作された「Forbidden Road」をはじめ、ウィリアムズの名曲の数々が物語を彩る。

 グレイシー監督は、ロビーが自身を「サルのようにステージに上げられていた」と表現したことからこのアイデアを着想し、ロビーの視点で物語を描くという方法を思いついたという。ロビーも「音楽業界というマシンに身を委ねるには、ロボットかサルになることを要求される。そして、僕はサルを選んだ」と語っている。

 とはいえ、やはり最初は正直なところ主人公がサルというところに違和感があったのだが、不思議なもので慣れてくるとその違和感は消えていき、クイーンの『ボヘミアン・ラプソディー』(18)やエルトン・ジョンの『ロケット・マン』(19)とは似て非なる、新たな試みの音楽伝記映画として見ることができた。

 ただ、自分はロビーの熱心なファンというわけではないので冷静に見られたが、彼のファンにとってこの映画はどのように映るのだろうかという興味が湧いた。ロビーがフランク・シナトラの「マイ・ウェイ」をカバーし、父と子の和解の象徴としたクライマックスシーンが心に残った。

 
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