【映画コラム】“グランド・ホテル方式”で六つのストーリーを交錯させた『すべては君に逢えたから』

2013年11月29日 / 18:11

(C)2013 「すべては君に逢えたから」製作委員会

 来年12月の東京駅開業100周年を記念して製作された『すべては君に逢えたから』が22日から公開された。

 本作は、クリスマス間近の東京駅を舞台に、「偶然の出会い」(玉木宏、高梨臨)、「遠距離恋愛」(木村文乃、東出昌大)、「49年前の約束」(倍賞千恵子、小林稔侍)、「新幹線の運転士一家」(時任三郎、大塚寧々、山崎竜太郎)など“六つのストーリー”を交錯させながら、10人の男女のそれぞれの“愛”を描いている。

 JR東日本の全面協力の下、2012年に復元された3階建ての丸の内駅舎や東京ステーションホテル、新幹線などで撮影が行われたことも大きな見どころとなっている。監督は『鴨川ホルモー』(09)や『おかえり、はやぶさ』(12)などの本木克英。

 さて、本作が最も影響を受けたのは、クリスマスのロンドンを舞台に、ヒュー・グラント、キーラ・ナイトレイなど19人の男女が、さまざまなラブストーリーを演じたロマンチックコメディー『ラブ・アクチュアリー』(03)だろう。

 このように、同一時間に同一の場所に偶然集まった複数の人物を、同時進行的に一度に描く手法を“グランドホテル方式”と呼ぶが、それはハリウッドのクラシック映画『グランド・ホテル』(32)に端を発する。

 グレタ・ガルボら当時の主役級のスターを複数登場させ、ベルリンの超一流ホテルに集うさまざまな人々の人生を交錯させて描いたこの作品は、その後のオールスター映画や、ホテル、空港、港、駅など不特定多数の人々が集う場所を舞台にした群像劇映画の元祖とされている。

 さまざまな年代の人々が抱える問題を並列させて描きながら、やがて別々の話が同じ場所で交錯するところがこうした映画の醍醐味(だいごみ)。『すべては君に逢えたから』も紛れもなくこの流れをくんでいるのだ。(田中雄二)


page top