【映画コラム】誰かが覚えている限り人は死なない『リメンバー・ミー』
2018年3月17日
メキシコを舞台にしたディズニー/ピクサーの新作アニメーション『リメンバー・ミー』が公開された。
ある理由から、音楽を禁止する家に育ちながらも、ひそかにミュージシャンを夢見ている少年ミゲルが主人公。“死者の日”に、伝説のミュージシャン、エルネスト・デラクルスの霊廟(れいびょう)に忍び込んでギターを弾いたミゲルは、なぜか死者の国に迷い込んでしまう。日の出までに元の世界に戻らなければ、永遠に家族とは会えなくなることを知ったミゲルは、何かと手助けをしてくれる陽気な骸骨のヘクターと共に、必死に戻る手段を探るのだが…。
亡き人とのつながりを大切にする、メキシコの“死者の日”の精神を核にした家族の絆の物語。図らずも日本のお盆とも共通する精神が描かれている点が興味深い。
リー・アンクリッチ監督は「私たちは、自分が死んだ後も、自分が子孫にとって大切な存在であり続けると信じたい。この映画では、思い出を持ち続けることがいかに大切かということを描きたかった」と語っている。
そんな本作のユニークな点は、「死」を「肉体的な死」と「誰からも忘れ去られて存在自体が消える死」の二段階に分けて設定しているところ。それは、裏を返せば、誰かが覚えている限り人は死なない、死=無ではないという考え方にも通じるからだ。
カラフルに表現された死者の国はまさにピクサーアニメの真骨頂。アカデミー賞で主題歌賞を受賞したテーマ曲「リメンバー・ミー」などの音楽も耳に残る。原題の「ココ」はミゲルの曾祖母の名前で、映画を見れば「なるほど」と思えるが、今回は珍しく邦題の方が的を射ている。(田中雄二)
-
2018年3月10日
【映画コラム】イーストウッドの新たな試みではあるが…『15時17分、パリ... -
2018年3月3日
【映画コラム】“デル・トロ・ワールド”と呼ぶしかないような、摩訶不思... -
2018年2月24日
【映画コラム】トランプ政権に対する不信感が反映された『ザ・シークレ... -
2018年2月17日
【映画コラム】綾瀬はるかをいかに美しく、魅力的に見せるかに力を込め... -
2018年2月10日
【映画コラム】あくまで“ジョン・ウーの世界”として見れば…『マンハント』 -
2018年2月8日
【映画コラム】これは現代版の西部劇なのか…『スリー・ビルボード』 -
2018年1月27日
【映画コラム】松本清張の影響を感じさせられる『祈りの幕が下りる時』... -
2018年1月20日
【映画コラム】昔のB級SF映画のにおいがして楽しい『ジオストーム』 -
2018年1月12日
【映画コラム】人間の持つ可能性の大きさを描いた『5パーセントの奇跡... -
2018年1月6日
【映画コラム】英米のカルチャーギャップが面白い『キングスマン:ゴー... -
2017年12月30日
【映画コラム】2017年映画ベストテン -
2017年12月15日
【映画コラム】今回の“裏主役”はルーク!『スター・ウォーズ/最後のジ... -
2017年12月9日
【映画コラム】夫婦の愛情劇+奇想天外な冒険ファンタジー『DESTINY 鎌... -
2017年12月2日
【映画コラム】演者の異なる古典劇を見るような楽しみがある『オリエン... -
2017年11月18日
【映画コラム】アメリカのカントリー賛歌の側面もある『ローガン・ラッ... -
2017年11月11日
【映画コラム】映画好きのつぼを刺激する『人生はシネマティック!』 -
2017年11月4日
【映画コラム】広がり続けるマーベルシリーズ『マイティ・ソー バトル... -
2017年10月28日
【映画コラム】前作からのファンは満足するが…『ブレードランナー2049』 -
2017年10月21日
【映画コラム】アメリカ映画の底力を感じさせる『バリー・シール/アメ...
