【映画コラム】ヒーローもつらいよ『インクレディブル・ファミリー』
2018年7月28日
『Mr.インクレディブル』(04)の14年ぶりの続編『インクレディブル・ファミリー』が8月1日から公開される。
監督・脚本は前作同様ブラッド・バードが担当。目まぐるしく展開するアクションシーンが見ものだ。
とはいえ、今回のテーマは、ズバリ「悪と戦うヒーロー家族にも、日常生活や悩みがある」だ。夫のボブではなく、妻のヘレンに“正義の仕事”が舞い込むことで、女性の社会進出、イクメン夫の苦労、仕事と子育ての両立など、今時の、ごく一般的な問題が二重写しになり、面白さや切実味が増している。
そうした問題の多くは、バード監督自身の家族像を反映させたものだという。これは公開中の細田守監督の『未来のミライ』と共通するものがあると感じた。
バード監督は「スーパーヒーローというレンズを通して、誰もが知っている家族というコンセプトを掘り下げる。またそれとは逆に、家族を通してスーパーヒーローを描く。そのどちらもが面白いと思った」と語る。
さらに「仕事と家庭の両立は、男性、女性に限らず、バランスを取るのがとても難しい。僕自身もまだ答えが出ていない。本当に綱渡りをしているような感じ。例えば、1カ所はとてもバランスが取れているように見えても、常にシフトをしていかないと前には進めない。まるで手探りのようだと誰もが感じていると思う」と吐露する。とてもヒーロー映画を撮った監督のものとは思えない、切実な談話に驚かされる。
また本作は、マーベルやDCのヒーロー映画にも通じる、民衆の、ヒーローを求める声と、パワーを持つ者への畏怖という、二律背反も描いている。
もちろん、家族そろって見れば楽しい映画には違いないのだが、その反面、それぞれの立場で身につまされることも多いのではないだろうか。まさに「今はヒーローもつらいよ」という感じである。(田中雄二)
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