【映画コラム】主要登場人物はたった1人のサスペンス劇『THE GUILTY/ギルティ』
2019年2月16日
主要登場人物はたった1人というユニークなサスペンス劇『THE GUILTY/ギルティ』が2月22日から公開される。
警官のアスガー(ヤコブ・セーダーグレン)は、ある事件をきっかけに、現場を退き、緊急通報指令室のオペレーターを務めていた。ある日、車で誘拐されたという女性からの通報を受けたアスガーは、電話の声と音だけを頼りに、事件解決に挑むことになる。
本作は、スウェーデン出身のグスタフ・モーラーの長編監督デビュー作となったデンマーク映画。トラウマを抱える主人公が、姿の見えない相手と電話を通じて接触するという点では、ハル・ベリーが主演した『ザ・コール 緊急通報指令室』(13)と重なるところもあるが、こちらは、画面に映る主要登場人物はアスガーのみ。しかもカメラは緊急通報指令室から一歩も外に出ない、というところが新鮮に映る。
また、内と外で舞台は異なるが、主人公以外の人物が、ほとんど前面に出てこないサスペンス劇という点では、スティーブン・スピルバーグ監督の『激突!』(71)をほうふつとさせるし、基はラジオドラマ、外に出られない主人公、電話を使ったサスペンス劇という共通点がある『私は殺される』(48)のことも思い出させる。
ただ、本作がそれらの映画と大きく異なるのは、モーラー監督が「音声から思い浮かぶイメージは人によって違う。だから一人一人の観客が、異なる人物像を想像する」と語る通り、外の場面や回想を全く入れずに、アスガーと電話の声だけで押し切った“我慢の演出”が、観客の想像力を刺激しながら、ミスリード(=誤解)によるサスペンスを生み出すところだ。セーダーグレンの見事な一人芝居に加えて、含みを持たせたラストシーンも心に残る。
そんな本作のリメークが、ジェイク・ギレンホール主演ですでに決定したようだが、果たして“我慢の演出”も踏襲されるのだろうか。興味深いところだ。
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