【映画コラム】シリーズを見続けてきた者にはたまらない『クリード 炎の宿敵』
2019年1月12日
前作『クリード チャンプを継ぐ男』(15)で新章に突入した『ロッキー』シリーズの最新作『クリード 炎の宿敵』が公開された。
前作でのアポロの息子アドニス・クリード(マイケル・B・ジョーダン)の登場に続いて、今回は『ロッキー4/炎の友情』(85)のロシア人ボクサー、イワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)と息子のビクター(フロリアン・ムンテアヌ)が現れ、親子2代にわたる、息子同士の宿命の戦いが描かれる。
と、ここで『ロッキー』シリーズの流れを振り返ってみよう。三流ボクサーのロッキー・バルボア(シルベスター・スタローン)が無敵の世界チャンピオン、アポロ・クリード(カール・ウェザース)に挑む姿を描いた『ロッキー』(76)は、アメリカ建国200年の年に公開され、大ヒットを記録。当時、売れない俳優だった若きスタローンの出世作ともなり、「やったらやれる」「諦めるな」というアメリカンドリームの象徴とされた。
以後シリーズ化され、『ロッキー2』(79)ではアポロを破り、ロッキーは世界チャンピオンになる。だが、『ロッキー4/炎の友情』では、ライバルから親友となったアポロを死なせ、モスクワに遠征したロッキーは、レーガン政権下の“力による平和”を主張するアメリカの象徴へと変化した。スターとなったスタローン自身も、『ランボー』シリーズの影響もあり、筋骨隆々の肉体を誇示。共演したブリジット・ニールセンと再婚した。
そんな元気だったロッキーも、『ロッキー・ザ・ファイナル』(06)では愛妻エイドリアン(タリア・シャイア)を亡くし、息子にも離反され孤独に陥る。そして前作では、孤独と老いに加えて病まで得た。その間、スタローン自身も浮き沈みの激しい俳優人生を送ったが、前作では脇役としてなかなかいい味を出した。
つまり、ロッキーというキャラクターの変容は、スタローン自身はもとより、ひいては人間の一生、アメリカという国の現代史とも重なるところがある。だからこそ人々はロッキーというキャラクターに共感を覚えるのだ。
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