【映画コラム】“演じること”について描いた『真実』と『スペシャルアクターズ』
2019年10月22日
俳優を主人公に、“演じること”について描いた映画が相次いで公開された。まずは、是枝裕和監督が撮ったフランス映画『真実』から。
フランスを代表する大女優ファビアンヌ(カトリーヌ・ドヌーブ)が『真実』というタイトルの自伝を出版することに。そこに、アメリカで脚本家として活躍する娘のリュミール(ジュリエット・ビノシュ)と夫のテレビ俳優ハンク(イーサン・ホーク)と娘のシャルロットがやって来る。
彼らに、ファビアンヌの現在のパートナー、元夫、執事を加えた、出版祝いを口実に集まった“家族たち”の騒動の様子を、ファビアンヌの新作映画の撮影と並行して描く。
是枝監督自身が「自分の中でも最も明るい方へ振ろうと考えて現場に入った」と語る通り、彼の映画にしては珍しくトーンが明るく、軽やか。いつも通りに“家族”を描いてはいるが、説教も主張も、問題提起もなく、すがすがしい印象を受けた。
ドヌーブが、亡くなった姉のフランソワーズ・ドルレアックとの関係をほうふつとさせるエピソードも含めて、「どこまでが演技でどこからが真実なのか」という女優の性(さが)を見事に体現。それを受けて立ったビノシュもまた見事だった。
この映画を見ながら、昔、名女優の杉村春子が「病気の夫を看病し、涙した際に『今のは演技か』と言われて悔しかった」と語っていたと、どこかで聞いたことを思い出した。
-
2019年10月12日
【映画コラム】逆説的なビートルズへのラブレター『イエスタデイ』 -
2019年10月7日
【映画コラム】負のパワーに引き付けられ、圧倒される『ジョーカー』 -
2019年9月30日
【映画コラム】平凡な日々こそがいとおしい『エセルとアーネスト ふたり... -
2019年9月23日
【映画コラム】宇宙飛行士の内面に重点を置いた『アド・アストラ』 -
2019年9月16日
【映画コラム】悪徳総理が普通のおじさんになったら『記憶にございませ... -
2019年9月9日
【映画コラム】バート・レイノルズの立派な遺作『ラスト・ムービースター』 -
2019年9月2日
【映画コラム】ユニークなコメディー『引っ越し大名!』と『やっぱり契... -
2019年8月27日
【映画コラム】タランティーノのハリウッドへの偏愛に満ちた『ワンス・... -
2019年8月19日
【映画コラム】エルトン・ジョンの半生をファンタジックに描いた『ロケ... -
2019年8月12日
【映画コラム】日本の近代史を総括するドキュメンタリー映画『東京裁判』 -
2019年8月3日
【映画コラム】現実と空想世界が交差する二重構造『マーウェン』 -
2019年7月27日
【映画コラム】数学的な見地から戦艦の建造や構造を描いた『アルキメデ... -
2019年7月20日
【映画コラム】今度の舞台は雨が降り続く東京『天気の子』 -
2019年7月15日
【映画コラム】ロバート・レッドフォードの俳優引退作『さらば愛しきア... -
2019年7月13日
【映画コラム】ウッディの選択と決断を描いたシリーズ最終章『トイ・ス... -
2019年7月6日
【映画コラム】ほら話や寓話を聞いているような気分になる『ゴールデン... -
2019年6月29日
【映画コラム】弁当作りを「喜」や「楽」に変える工夫とは『今日も嫌が... -
2019年6月22日
【映画コラム】現代にも通じる、知られざる歴史を描いた『ある町の高い... -
2019年6月15日
【映画コラム】女性の主張や生き方の変化を象徴する実写映画化『アラジン』
