【映画コラム】ジョンソンの存在を際立たせるためのアイデアの集積が見事な『スカイスクレイパー』
2018年9月22日
“ザ・ロック”ことドウェイン・ジョンソン主演のアクション大作『スカイスクレイパー』が公開された。
主人公は元FBI人質救出部隊のリーダー、ウィル(ジョンソン)。ある事件の爆発事故で片足が義足となった彼は、今は香港にある世界最高峰のビル「ザ・パール」に家族と共に住み、危機管理コンサルタントとしてビルのセキュリティーを担当していた。そんな中、謎の一団がパールに大火災を発生させる。ウィルはビル内に取り残された家族を救うために孤軍奮闘する。
本作の基になったのは、監督・脚本のローソン・マーシャル・サーバーの「世界で一番高い建物で火災が起き、主人公の家族は火災現場より上の階に取り残される。しかも主人公はビルの外にいる」というシンプルなアイデアだったという。
そこに他のスタッフが「主人公は火災の犯人にされてしまう。だから彼は家族を救うためにビルの中に入る方法だけでなく、犯人を捜して火災を食い止め、自らの疑いを晴らし、ビルから脱出する方法も考えなければならない。しかもたった1日の間に…」という具合に、難題を肉付けしていったらしい。
というわけで、超高層ビルの火災を描いた『タワーリング・インフェルノ』(74)+ビルジャックに巻き込まれた男が主人公の『ダイ・ハード』(88)+無実の罪をきせられた主人公が逃げまくる『逃亡者』(93)を、ジョンソン一人でやってのけるようなストーリーが展開していくのだが、普通の彼なら面白くないとばかりに、さらに義足というハンディキャップまで付けるところがすごい。
元プロレスラーのジョンソンは、もちろん大変な肉体派ではあるのだが、1980年代に活躍したシルベスター・スタローンやアーノルド・シュワルツェネッガー、それに続いたスティーブン・セガールやジャン=クロード・ヴァン・ダムなどの格闘家系とも違う、独特のキャラクターを持っている。本作では、重要な小道具となる粘着テープや義足も含めて、どうしたらジョンソンの存在を際立たせることができるのか、というアイデアの集積が面白さの源になっている。
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