【映画コラム】思わずマスターに料理を作ってもらいたくなる!?『続・深夜食堂』
2016年11月5日

(C) 2016安倍夜郎・小学館/「続・深夜食堂」製作委員会

(C) 2016安倍夜郎・小学館/「続・深夜食堂」製作委員会

 2009年から三つのテレビドラマシリーズが放映された「深夜食堂」。その映画化第2弾となる『続・深夜食堂』が公開された。

 舞台となるのは、とある繁華街の路地裏にある小さな食堂「めしや」。深夜に店が開くことから人呼んで深夜食堂という。

 メニューは酒と豚汁定食だけだが、腕自慢のマスターが「できるもんなら何でも作るよ」と、客のリクエストに応えて出す料理を前に、今夜も客たちの悲喜こもごもの人生が交錯する。

 酸いも甘いもかみ分けたマスター役はかつてテレビドラマ「イキのいい奴」で下町のすし屋の親方を好演した小林薫。本作を見ていると、思わず料理を作ってもらいたくなるほど、彼は本当に料理人や職人かたぎの役を演じるのがうまい。

 監督、脚本はテレビ版と映画版の第1作も担当した松岡錠司。今回も「焼肉定食」「焼うどん」「豚汁定食」の3編からなるオムニバス(幾つかの独立したストーリーを並べて、全体で一つの作品にしたもの)形式で描いている。

 本作は、安倍夜郎のコミックからテレビドラマ、そして映画へと広がってきたのだが、マスターと客たちの微妙な距離感の中で、心地良い人情ドラマを展開させ、見る者を、出来のいい連作短編集を読んでいるような良い気分にさせるという基本路線は何も変わっていない。まさに行きつけの店の定食の味わいといった感じがする。

 そして、本作のように料理を描いた映画を見ながら、出てくる料理が食べたくなったら、それは映画の出来自体もいいという証なのだ。

 ラストシーンはこれもお決まりの大みそか。いつも店にいるマスターがさまざまな人々を迎え入れる話は、旅をする寅さんとは対照的だが、『男はつらいよ』シリーズのように、毎年映画館でマスターに会いたいと思う人も多いのではないだろうか。(田中雄二)

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