ジョニー・デップ好演、改めて人種差別や警察の腐敗について考えさせられる『L.A.コールドケース』【映画コラム】
2022年8月4日
『L.A.コールドケース』(8月5日公開)
ロサンゼルス市警の元刑事ラッセル・プール(ジョニー・デップ)は、1997年に発生した HIPHOP界のスター、2パックとノトーリアス・B.I.G.の射殺事件から18年たった今も、事件の真相を一人で追い続けていた。
2人のラッパーの死はさまざまな憶測を呼び、対立する所属レーベル「デス・ロウ・レコード」と「バッド・ ボーイ・レコード」同士の報復合戦が招いた悲劇ともうわさされたが、現在に至るまで犯人は特定されず、真相はいまだ深い闇に包まれていた。
一方、独自に事件を探っていた記者のジャック(フォレスト・ウィテカー)は、プールのもとを訪れ、真相の究明に協力するが、やがて2人の前に、新たな事実が浮かび上がる。
2018年製作の映画で原題は「CITY OF LIES」。監督のブラッド・ファーマンは、実話を基にした事件を、生真面目に描いているが、人物説明や現在と過去の織り込み方に少々雑なところがあるので、いかんせん分かりづらいところがあって、見ながらもやもやしてくるのが残念だった。ただそれは、こちらが事件のことをよく知らないせいなのかもしれないとも思った。
ところが、プロデューサーのミリアム・シーガルの「これは推理映画ではない。いろいろな人が疑われているけれど、映画の中心テーマは犯人を明らかにすることではない。これは、終わりのない物語。誰がやったのか分からないし、誰を信じたらいいのかも分からない。確固たる証拠がないのだから。むしろ、犯人を探し出したいというプールの熱意を描いている」という談話を目にした。
それを読んで、もやもやの原因が分かった。自分はこの映画に、推理ものとしてのすっきりとした展開や結末を望み過ぎていたのかもしれないと。
そして、この事件の背景に、91年に起きたロドニー・キング事件からロサンゼルス暴動という流れがあったことを知らされ、改めて白人と黒人との間の人種差別や警察の腐敗が根深い問題であることを知らされた思いがした。
-
2022年7月29日
30年にわたった新旧シリーズが、ついに完結『ジュラシック・ワールド/... -
2022年7月22日
全編が見事なまでに“山崎貴の世界”で構成された『ゴーストブック おばけ... -
2022年7月14日
70年代のB級アクションのにおいがするサバイバル劇『炎のデス・ポリス... -
2022年7月7日
思わず夏の暑さを忘れさせる山岳映画『アルピニスト』『神々の山嶺(い... -
2022年7月1日
それぞれ謎の一端が明かされる『エルヴィス』と『バズ・ライトイヤー』... -
2022年6月22日
ハリウッドのお気楽映画が帰ってきた『ザ・ロストシティ』【映画コラム】 -
2022年6月17日
少女が主人公の対照的な映画『炎の少女チャーリー』『メタモルフォーゼ... -
2022年6月9日
毎日映画を見て過す男が案内する映画の旅『ストーリー・オブ・フィルム ... -
2022年6月3日
作家性にこだわるあまり空回りした『東京2020オリンピック SIDE:A』【映... -
2022年5月26日
“生きること”を強調したところに、この映画の真骨頂がある『トップガン ... -
2022年5月19日
創作活動に共通する苦悩や喜び、そして熱気を描いた『大河への道』『ハ... -
2022年5月16日
『シン・ゴジラ』に続いて、舞台を現代社会に置き換えて再構築した『シ... -
2022年5月12日
訳ありのボクサーを主人公にした、熱き肉体派映画『生きててよかった』... -
2022年5月5日
事実と創作の間とは…『オードリー・ヘプバーン』『マイ・ニューヨーク・... -
2022年4月28日
ある女性に訪れた小さな奇跡を描いた『ツユクサ』【映画コラム】 -
2022年4月21日
家族や結婚について考えてみる『カモン カモン』『マリー・ミー』【映画... -
2022年4月8日
「ハリー・ポッター」魔法ワールドシリーズ最新作『ファンタスティック... -
2022年3月31日
カンヌ国際映画祭監督賞受賞作『アネット』/カンヌ国際映画祭パルム・... -
2022年3月24日
“デル・トロ・ワールド”全開の『ナイトメア・アリー』/ケネス・ブラナ...

