【映画コラム】本当にこれで終わりなのか?『ターミネーター:ニュー・フェイト』
2019年11月11日
『ターミネーター2』(91)から28年後に作られた正統な続編『ターミネーター:ニュー・フェイト』が公開された。ジェームズ・キャメロンが製作に復帰し、監督は『デッドプール』(16)のティム・ミラーが務めた。
サラ・コナー(リンダ・ハミルトン)とターミネーターT‐800(アーノルド・シュワルツェネッガー)の活躍により、人類滅亡の“審判の日”は回避されたはずだった。ところが、再び新たな脅威が現れ、サラとT‐800もその渦中に巻き込まれていく。
本作は『ターミネーター』関連映画としては通算6作目に当たるが、どうやら『~2』とこの映画の間に作られた諸作は全てなかったことにするようだ。何だか引退や解散を何度も宣言しながら、復帰や再結成を繰り返すプロレスラーやロックバンドを思わせるところもあって、釈然としないものが残るが、激しいアクションの連続にはやはり度肝を抜かれる。「~2」の変形自在のターミネーターT‐1000の特撮には驚かされたが、今のVFXの発達は、それを時代遅れと感じさせるものがある。
今回は新たなキャラクターとして、人類存亡のキーマンとなるダニー(ナタリア・レイエス)、未来からやって来た強化型兵士のグレース(マッケンジー・デイビス)、そして最新型ターミネーターREV‐9(ガブリエル・ルナ)が登場するが、主役は60歳を過ぎたハミルトンに他ならない。彼女がアクションでもシュワルツェネッガーをしのいでいたのには驚いたが、衰えた彼の姿を見るのはいささか寂しいものがあった。
ターミネーターが年を取る理由ついては、『ターミネーター:新起動/ジェニシス』(15)で「サイボーグの骨格を包むのは人間の皮膚組織なので外見は年を取る。しかも、人間と一緒に暮らしてきたので内面も人間のように変化している」と説明されていたが、あれはなかったことにするわけだから…。今回は特に説明もなかった。
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