80年代テイストが満載の『ゴーストバスターズ/アフターライフ』【映画コラム】

2022年2月3日 / 07:15

 レイ・パーカーJr.が歌うテーマ曲に乗って、1980年代にブームを巻き起こした『ゴーストバスターズ』(84)と『ゴーストバスターズ2』(89)の続編となる『ゴーストバスターズ/アフターライフ』が2月4日から公開される。今回は、両作の監督アイバン・ライトマンの息子のジェイソン・ライトマンが監督をした。

『ゴーストバスターズ/アフターライフ』

 住む場所を失ったシングルマザーのカリー(キャリー・クーン)と息子のトレバー(フィン・ウルフハード)と娘のフィービー(マッケナ・グレイス)は、亡くなったイゴン・スペングラー博士から相続したオクラホマ州サマービルの荒れ果てた農家に引っ越す。

 スペングラー博士(ハロルド・ライミス)はかつてゴーストバスターズの一員だった。彼らがニューヨークでゴーストたちを封じ込めてから30年。ゴーストたちがサマービルに出現する。フィービーと仲間たち(ポール・ラッド、ローガン・キム、 セレステ・オコナー)はゴースト退治を試みるが…。

 これまでは、父の映画とは一線を画すようなインディーズ系の映画を主に撮ってきたジェイソンが、今回は父にすり寄った感じがした。この映画の根底にあるのは、家族の絆の再生であり、祖父の秘密を知り、後継者たらんとする主人公のフィービーはジェイソンの分身なのかもしれないと思った。

 さらに、オリジナルの2作はもとより、80年代のテイストが満載だ。例えば、子どもたちの宝探しを描いた『グーニーズ』(85)や、怪物が田舎町を荒らす『グレムリン』(84)といったアンブリンの製作映画をほうふつとさせる。特に、今回大量発生したミニ・マシュマロマンの愉快な行動はグレムリンとよく似ている。また、ロブ・シモンセンの音楽もジョン・ウィリアムズ風に聴こえる。

 ほかにも、『クジョ―』(83)と『チャイルド・プレイ』(88)の引用もあり、ラストは『スター・ウォーズ/ジェダイの復讐』(83)を思い起こさせるのだから念が入っている。ジェイソン自身が子ども時代に見て楽しんだ映画を思い切り入れ込んだ感じがする。

 そして、タイトルの「アフターライフ」にもオリジナルと絡めた重要な意味が込められている。

 ただ、これは懐かしさからくる感慨であり、オリジナルを知らない若者たちの目にはどう映るのだろうかと思った。惜しむらくは、今回はちょっとシリアスになり過ぎて、コメディー味が薄れたところか。

 そういえば、メインキャストの4人を全員女性にした『ゴーストバスターズ』(16)が作られたが、あれはなかったことにしたのかな。

(田中雄二)


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