【映画コラム】“時”を扱った三者三様の映画『夏への扉-キミのいる未来へ-』『Arc アーク』『1秒先の彼女』
2021年6月24日
今回は、くしくも6月25日にそろって公開される、“時”を扱った三者三様の映画を紹介する。
この小説の初映画化が日本でなされたことに驚く『夏への扉-キミのいる未来へ-』
1995年、将来を嘱望される科学者の高倉宗一郎(山崎賢人)は、亡き養父・松下(橋爪淳)の会社で研究に没頭していた。ずっと孤独だった宗一郎は、自分を慕ってくれる松下の娘・璃子(清原果耶)と愛猫のピートを、家族のように大切に思っていた。
だが、研究の完成を目前にしながら、宗一郎はわなにはめられ、冷凍睡眠させられてしまう。彼が目を覚ますと、そこは30年後の2025年の東京だった。
日本でも人気のあるロバート・A・ハインラインの『夏への扉』を翻案。冷凍睡眠(コールドスリープ)とタイムマシンを使って、現在と未来を結び付けるという大筋は原作を踏襲しているが、原作の1970~2000年への旅を1995~2015年に変え、相手役の娘の年齢を上げ、主人公が未来で出会うアンドロイド(藤木直人)を登場せるなど、いろいろと改変を試みている。
監督の三木孝浩は『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』(16)で、脚本の菅野友恵は『時をかける少女』(10)で、すでにこうした“時の不思議”を扱った話を映画化しているので、現在と未来のギャップによる浦島太郎的なコミカル味も含めて、タイムトラベルのつじつま合わせや伏線の回収も、違和感なく行っている。何より、この小説の初映画化が日本でなされたことに驚いた。
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