【映画コラム】全編を通してワンカットに見える『1917 命をかけた伝令』
2020年2月12日

 第1次大戦下、1917年のある日の西部戦線。イギリス軍兵士のブレイク(ディーン・チャールズ・チャップマン)とスコフィールド(ジョージ・マッケイ)に伝令の命が下る。それは、対ドイツ軍との最前線にいる自軍に攻撃作戦の中止を伝えるというものだった。

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 冒頭から、いきなり緊迫感に満ちた戦場の映像が映し出され、見る者を否が応でも戦場に引きずり込む。その点では、第2次大戦を描いたスティーブン・スピルバーグ監督の『プライベート・ライアン』(98)や、クリストファー・ノーラン監督の『ダンケルク』(17)のような、体験型の戦争映画と同じだ。

 また、第1次大戦の塹壕が印象的に描かれた映画には、チャールズ・チャップリン監督・主演の『担え銃』(1918)、ルイス・マイルストン監督の『西部戦線異状なし』(30)、スタンリー・キューブリック監督の『突撃』(57)など、名作が多い。

 ただ、この映画が特異なのは、監督のサム・メンデスいわくの「全編を通してワンカットに見える映像」を駆使し、「実際の時間軸と同じスピードで物語が進行する」ところ。それ故、あくまでも2人の兵士の目線で、連続性のある、途切れない物語が生まれた。観客は2人と一体になって、緊迫感や臨場感、そして戦場の恐怖を味わうことになる。

 この点は、ワンカットに見える映像を可能にした、撮影のロジャー・ディーキンス(アカデミー賞受賞)と編集のリー・スミスの功績が大だと言えるだろう。そういえばメンデスは『007/スペクター』(15)のオープニングもワンカットで撮っていた。

 
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