【映画コラム】オリジナルへの回帰的な側面もある『ジュラシック・ワールド/炎の王国』
2018年7月14日
前作『ジュラシック・ワールド』(15)から3年後を舞台した『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が公開された。
恐竜たちが放置されたままのイスラ・ヌブラル島の火山が噴火の兆候を示し始める。恐竜たちを見捨てるのか、保護するのかの議論が行われる中、オーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は、再び島を訪れるが…。
本作は3部作の中間作。バイオテクノロジー発達の功罪、クローン、人間と動物(恐竜)との共生などをテーマに、恐竜を復活させるという“パンドラの箱”を開けてしまった人間たちが、どう収拾をつけるのかを描くという点では、マイケル・クライトンとスティーブン・スピルバーグが創造したオリジナルの『ジュラシック・パーク』(93)への回帰的な側面もある。そのスピルバーグは本作を「恐竜とモンスターを掛け合わせた、シリーズ初のハイブリッド映画だ」と語る。
そして、前作の監督で、今回は製作・脚本に回ったコリン・トレボロウも「本作を監督したJ・A・バヨナは、サスペンスホラーを描くことに長けているので、見ている人を怖がらせる表現方法の引き出しをたくさん持ってる。今回ではそれが最大限に生かされた。だから、よりダークなテーマを扱うことができた」と話すが、その反面、オーウェンとクレアの掛け合いは往年のスクリューボールコメディーを思わせるような楽しさもある。
そんな、さまざまな要素が混在する本作のラストシーンを見ると、次回作でどう収拾をつけるのだろうかという興味が湧く。(田中雄二)
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