【映画コラム】正統派の西部劇を作ろうと努力した『ジェーン』
2016年10月22日

(C) 2015 SP JGAG, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

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 主演のナタリー・ポートマンがプロデュースも兼ねた西部劇『ジェーン』が公開された。

 南北戦争後の米ニューメキシコ。ジェーン(ポートマン)は、夫のハム(ノア・エメリッヒ)と娘と共につましく暮らしていた。だがある日、夫が悪党のビショップ(ユアン・マクレガー)に撃たれてしまう。ジェーンは瀕死(ひんし)の夫と娘を守るために、かつての恋人ダン(ジョエル・エドガートン)に助けを求めるが…。

 女性が主人公の西部劇は珍しい。脚本を読んだポートマンは「非力なジェーンが自分の力に気付き、家族を守っていく姿を、西部劇という舞台を用いて探ったところに興味を持った」という。そして「当時の西部はまだ未知の領域だったため、女性が仕事を持ち、牧場を経営し、学校に通い、参政権も得た。女性が自由になる機会が他の場所よりもたくさんあった」と説明する。

 と言う訳で、本作の宣伝文句は「荒野に生きる女、母」というものが圧倒的に多い。だが本作は、前半はジェーンの回想と共に、乾燥した西部での厳しい生活を中心に描き、一転、後半は、ビショップ一味に囲まれたジェーンたちは無事に逃げられるのかというサスペンスで盛り上げるなど、全体的には、一生懸命、真面目に正統派の西部劇を作ろうと努力したあとがうかがえる。

 今や西部劇は衰退し、ただ撃ち合いを見せるだけの映画という誤解もあるようだが、昔から、本作のように、生活や恋愛をきちんと描いたものもたくさんあったのだ。

 ポートマンが銃の使い方、乗馬などのアクションでも大健闘を見せ、彼女の一人舞台かと思いきや、脚本に協力したエドガートンも大活躍。近々公開のサスペンス作『ザ・ギフト』では監督と出演を兼任し、本作とは全く違う顔を見せる。また一人楽しみな怪優が誕生した。(田中雄二)

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