【映画コラム】“普通のとーちゃん”たちへの応援歌『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』

2014年4月19日 / 19:11

(C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK2014

 人気アニメ映画シリーズの第22作『映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』が19日から公開された。

 本シリーズのコンセプトは「大人も子供も笑って泣ける映画」。毎回、野原一家が超現実的な事件に巻き込まれながら、家族や隣人との関係を見つめ直していく姿が描かれるが、次々に繰り出される下品なギャグでも楽しませてくれる。

 今回の主人公はごく平凡なサラリーマンで、家ではグータラなとーちゃんのひろし。何とそのひろしがロボットにされてしまうのだ。

 それ故、『鉄腕アトム』『機動戦士ガンダム』といったアニメや『ターミネーター2』(91)『リアル・スティール』(11)などの映画への敬愛とパロディーが随所で見られる。

 ぎっくり腰を治すため、怪しいマッサージ店を訪れたひろしがスーパーロボットになって帰ってきた。しんのすけは大喜びするが、それは家庭での立場が弱くなった父親たちの復権をもくろむ組織の陰謀だった。やがて“ロボとーちゃん”の先導で、父親たちによる革命運動が起きる。

 本作の見どころは、ロボとーちゃんが家族愛に目覚めていくところ。助け出されたひろしとロボット(分身)が「俺が本物だ」と叫びながら家族を取り合う姿がユーモアとペーソスを醸し出す。

 ある意味、スーパーマンのロボとーちゃんは子どもたちにとっては理想の父親像でもある。しんのすけも父に抱く愛情と同じものをロボとーちゃんにも感じるようになる。だからこそ別れのシーンに泣かされてしまうのだ。

 本作は、ひろしの大活躍を見せることで“普通のとーちゃん”たちへの応援歌とした。見事に二役を演じ分けた声優の藤原啓治の頑張りにも拍手を送りたい。そして今回のひろしの名言は「何のこれしき。パンはピロシキ」で決まり。(田中雄二)


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