【映画コラム】少年戦士の心の成長を描いたSF大作『エンダーのゲーム』

2014年1月18日 / 19:59

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 近未来を舞台に、宇宙戦争を終わらせる者(=エンダー)としての宿命を背負った少年を主人公にしたSF映画『エンダーのゲーム』が18日から公開された。

 原作は1985年に出版されたオースン・スコット・カードのSF小説。壮大なストーリー故に、長い間映像化は不可能とされてきたが、映像技術の発達がようやく原作に追い付き、待望の映画化につながった。特にシミュレーションゲームのように展開される訓練や戦闘場面の映像が目を引く。

 また、主人公が少年戦士でバトルスクールが主舞台となることから、キャスティングの難しさも映画化を妨げてきた要因の一つだったが、本作はエンダー役に『ヒューゴの不思議な発明』(11)のエイサ・バターフィールド、バトルスクールで彼と心を通わす少女役に『トゥルー・グリット』(10)のヘイリー・スタインフェルド、エンダーの優しい姉役に『リトル・ミス・サンシャイン』(06)のアビゲイル・プレスリンというキャストを得たことでその問題も解決した。

 さらにバトルスクールの監督官役のハリソン・フォードと、かつての歴戦のヒーロー役のベン・キングズレーという大ベテランが彼らをもり立てている。

 ところで本作の監督は『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』(09)のギャビン・フッドが務めたが、南アフリカ共和国出身の彼は、スラム街で育った黒人少年が偶然赤ん坊を拾ったことで人間的な感情に目覚めていく姿を描いた秀作『ツォツィ』(05)でアカデミー賞外国語映画賞を受賞したことでも知られる。

 ハードなSFの形を借りて、少年戦士の指揮官となるエンダーの苦悩と成長をテーマとした本作には、『ツォツィ』で少年の心の変化を描き、『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』でSFにもさえを見せたフッド監督の手腕が必要だったのだ。(田中雄二)

公開情報
『エンダーのゲーム』
2014年 1月18日(土)公開
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン


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