【映画コラム】妻や母の存在の大きさを物語る『ぼくたちの家族』と『オー!ファーザー』

2014年5月24日 / 19:03

(C)2014吉本興業

 もう1本は、伊坂幸太郎の原作を映画化したサスペンスコメディー『オー!ファーザー』。この映画で描かれるのは、高校生の由紀夫(岡田将生)と同居する大学教師の悟(佐野史郎)、ギャンブラーの鷹(河原雅彦)、体育教師の勲(宮川大輔)、元ホストの葵(村上淳)という4人の父親たちの姿だ。

 由紀夫の母が彼が生まれる前に“4股”をかけていたため、相手の男たちが「別れるぐらいなら…」と同居を望んだ結果、この珍しい“家族”が誕生したというわけ。

 本作では、ある出来事を目撃したことから謎の武装集団に拉致された由紀夫を救うため父親たちが奪還作戦を計画するのだか、同じく伊坂原作を映画化した『陽気なギャングが地球を回す』(06)にも似たチームプレーの楽しさが味わえる。新人の藤井道人監督の演出もなかなか快調だ。

 そして岡田の好演で、個性が異なる父親たちの存在を煩わしく思いながらも、同時に彼らに深い愛情も感じている由紀夫の素直さがほほ笑ましく映り、こんな家族も悪くないと思わされる。

 『ぼくたちの家族』とは違い、こちらは4人の父親候補を手玉に取りながら最後まで姿を現さない母親の存在がユニークだが、裏を返せば、表現方法は異なるものの、どちらも男にとって妻や母の存在がいかに大きいかを物語った映画だとも言えるだろう。(田中雄二)

公開情報
『ぼくたちの家族』
5月24日(土)より、新宿ピカデリー他全国ロードショー。
配給:ファントム・フィルム

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