【映画コラム】音楽が人を幸せにすることを実感させられる『はじまりのうた』

2015年2月7日 / 17:04

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 音楽映画『ONCEダブリンの街角で』(07)のジョン・カーニー監督が、舞台をニューヨークに移し、悩める人々が音楽を通じて運命を切り開く姿を描いた『はじまりのうた』が7日から公開された。

 ミュージシャンの恋人に裏切られ、失意のどん底にいるグレタ(キーラ・ナイトレイ)。ところが、ライブハウスで歌う彼女の姿を偶然目にした音楽プロデューサーのダン(マーク・ラファロ)が彼女の才能にほれ込む。録音スタジオを借りる金もない二人は、ニューヨークの街角でゲリラレコーディングを敢行する。

 本作は、グレタとダンの再生を中心に描きながら、曲ができる過程、バンドのメンバーが集まるさま、音楽が結び付けた人々が実に楽しそうに演奏する場面の高揚感などを見せることで、音楽の持つ力の大きさや楽しさ、音楽が人を幸せにするということを実感させる。ナイトレイ、ラファロに加えて、人気バンド、マルーン5のアダム・レヴィーンがグレタの恋人役で映画初出演。もちろん歌声も披露する。

 また、ダンが「音楽は平凡な風景を真珠の輝きに変える魔法を持っている」と語るように、音楽と溶け合うニューヨークの風景も見もの。カーニー監督は撮影場所を探すスタッフに対して「目で見て選ぶな。本当にアルバムを録音したくなるような場所を耳で選べ」と注文を付けたという。

 本作は全米初公開時はわずか5館の限定上映にすぎなかったが、やがて口コミで評判が広まり、1300館へと拡大上映された。それはまさに本作が描いた“奇跡”を地でいったものだとも言える。音楽に合わせて思わず踊りだしたくなるような、そんないい気分に浸りながら映画館を後にすることができる映画だ。(田中雄二)


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