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結婚するのが怖くなる!? ダークなユーモアに満ちた心理サスペンス『ゴーン・ガール』が12日から公開された。
誰もがうらやむような結婚生活を送っているかに見えたニック(ベン・アフレック)とエイミー(ロザムンド・パイク)。ところが、結婚5周年の記念日にエイミーが謎の失踪を遂げ、警察はニックに疑いの目を向ける。さらに、暴走するメディアは夫婦の隠された素性を暴き始め、事件は思いも寄らない展開を見せていく。完璧な妻に見えたエイミーの身に一体何が起こったのか…。
デビッド・フィンチャー監督は、キッチンに残された大量の血痕、エイミーの日記、結婚記念日の宝探しのメッセージなど、思わせぶりな“小道具”を随所に配しながら、ミステリーの王道を展開させていく。最も強く影響を受けたのはアルフレド・ヒチコックの『めまい』(58)か。
また、フィンチャーは見る側が夫婦のどちらにも感情移入ができないように人物設定をしている。そして夫婦それぞれの多面性を見せながら、互いの真の姿は決して分からないという怖さを浮かび上がらせ、「あなたは自分の夫や妻のことをどれだけ知っているのか」という疑問を投げ掛ける。アフレックとパイクの丁々発止の演技も見ものだ。
とはいえ、この手の映画は何の予備知識もなしに見るのが一番。こちらはあまり多くを語れないもどかしさを感じるが、主人公のニックと共に、訳が分からないうちにずるずると泥沼にはまっていくような困惑と恐怖を感じながら見てほしい。
本作は恐らく男女で受け取り方が大きく異なるのではないかと思われるが、そこがまた楽しいところ。見終わった後で夫婦や恋人同士で感想を語り合うのも悪くない。(田中雄二)