【映画コラム】これは現代版の西部劇なのか…『スリー・ビルボード』

2018年2月8日 / 12:05

 本年度のアカデミー賞で、作品、脚本、主演女優、助演男優賞などにノミネートされた『スリー・ビルボード』が公開中だ。

(C)2017 Twentieth Century Fox

 舞台は、米ミズーリ州の田舎町。何者かに娘を殺されたミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)が、犯人を逮捕できない地元の警察署に抗議するため、町はずれの道路沿いの空き地にある朽ちた三つの広告看板(=スリー・ビルボード)にメッセージを書き込んで、新たに提示する。

 警察や町民はこれを快く思わず、撤去を促すが、ミルドレッドは決して引き下がらない。やがて両者の対立は激化し、ミルドレッドの行動も常軌を逸していく。

 バンダナを頭に巻き、青いツナギに身を包み、というミルドレッドの戦闘態勢的な外見は、あたかも“女クリント・イーストウッド”を思わせる。

 また、頑固で怒りに燃えた主人公、善悪のはざまで揺れながら観客の予測を覆す行動を取る登場人物たち、というイーストウッドの諸作(特に『許されざる者』(92))をほうふつとさせるところもある。そもそも、閉鎖的な田舎町に、復讐(ふくしゅう)のために現れた主人公、というのも、西部劇にはよくあるパターンだ。

 
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