【映画コラム】松本清張の影響を感じさせられる『祈りの幕が下りる時』と『嘘を愛する女』

2018年1月27日 / 16:02

 東野圭吾原作の『新参者』シリーズの完結編『祈りの幕が下りる時』が公開された。

(C)2018 映画「祈りの幕が下りる時」製作委員会

 今回は、東京の下町の安アパートで中年女性の絞殺死体が発見され、荒川の河川敷ではホームレスの焼身遺体が発見される。また同じ頃、新進の女性演出家(松嶋菜々子)が手掛けた舞台公演が行われる。この、一見、無関係とも思える出来事が微妙に絡み合い、引いては、主人公、加賀恭一郎(阿部寛)の過去や、行方不明となった母親の消息とも関係があることが明らかになっていく、というストーリーだ。

 冒頭の、刑事たちが少ない痕跡を基に、“足”を使って事件の謎を追う姿を見ながら、松本清張原作の映画『砂の器』(74)を思い出したのだが、実は、事件の背後に潜む暗い悲しみも、甚だ清張的であった。

 『砂の器』に登場する不幸な父と子が、ここでは父と娘に変わってはいるが、虐げられ、故郷を追われた彼らが旅をする姿、あるいは、やっとつかんだ栄光の前に、過去を知る人間が現れる、という設定は、明らかに『砂の器』を踏襲していると思える。

 また、加賀と松宮(溝端淳平)の姿に、『砂の器』のベテラン刑事の今西(丹波哲郎)と若手の吉村(森田健作)の姿が重なって見えるところもあった。このあたり、福澤克雄監督に確かめてみたい気もする。

 
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