【映画コラム】夫婦や結婚、創作活動をシニカルかつコミカルに描いた『先生、私の隣に座っていただけませんか?』『ブライズ・スピリット 夫をシェアしたくはありません!』

2021年9月2日 / 07:15

 今回は、9月10日から公開される、夫婦や結婚、創作活動についてシニカルかつコミカルに描いた映画を2本紹介しよう。

夫婦の虚と実のやじろべえはどちらに傾くのか『先生、私の隣に座っていただけませんか?』

(C)2021「先生、私の隣に座っていただけませんか?」製作委員会

 漫画家同士の佐和子(黒木華)と俊夫(柄本佑)の夫婦。だが俊夫は漫画が描けなくなり、佐和子のアシスタントをしながら、編集者の千佳(奈緒)と不倫をしていた。

 そんな中、佐和子の新作漫画の原稿を盗み見た俊夫は、自分たちとそっくりな漫画家夫婦の姿に加えて、夫と編集者との不倫現場がリアルに描かれているのを知って驚く。そして、漫画には自動車教習所に通い始めた妻と自動車教習所の若い教官との恋も描かれていた…。

 この漫画は現実の写しなのか、ただの妄想なのか、それとも俊夫に対する佐和子の復讐(ふくしゅう)なのか。漫画を読み進めていく中で、俊夫は恐怖と嫉妬におののき、現実と漫画との境界が曖昧になっていく。

 監督・脚本は「TSUTAYA CREATORS’ PROGRAM」で準グランプリとTSUTAYAプレミアム賞を受賞した堀江貴大。漫画家夫婦の虚実を交えた心理戦を描きながら、映像と漫画が交錯していくところが映画ならではの表現として面白い。

 また、ラストのどんでん返し(ここでタイトルが生きる)に至るまで、夫婦の虚と実のやじろべえが一体左右のどちらに傾くのかといったような謎があって、これもまた面白い。何より、俊夫の姿が滑稽に映る。

 さて、この映画を見ながら、逆パターンではあるが、酔った勢いで結婚した妻(ビルナ・リージ)の始末に困り果てた漫画家(ジャック・レモン)が、漫画の中で妻を殺してうっぷんを晴らしていたが、それを見た妻は自分が殺されると勘違いして…という、『女房の殺し方教えます』(64)のことを思い出した。

 
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