【映画コラム】 『世界にひとつのプレイブック』で洋画の邦題について考えてみる

2013年2月16日 / 18:37

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 本年度のゴールデン・グローブ賞など各賞を受賞し、25日に発表されるアカデミー賞でも、作品賞他計8部門にノミネートされた『世界にひとつのプレイブック』が、いよいよ22日から公開される。

 本作は、それぞれに最愛の人を失い心に深い傷を負った男女が、周囲の人々と触れ合い、ダンスコンテストへの出場を目指すことで再生していく姿を描いたヒューマン・コメディー。周防正行監督の『Shall We ダンス?』をほうふつとさせる楽しさがあるし、スティービー・ワンダーの「My Cherie Amour=マイ・シェリー・アモール」や 「Don’t You Worry ‘Bout A Thing=くよくよするなよ」など音楽の使い方のうまさも印象に残る。

 ところで、本作の原題は「Silver Linings Playbook」という。「Silver Linings」は英語のことわざの「Every cloud has a silver lining=どんな雲にも銀の裏地が付いている」から取られ、“どんなにつらい状況でも希望はある”という意味があるらしい。それから「Playbook」とはアメリカンフットボールチームの作戦図のこと。この二つを合わせると「絶望を希望に変えるための作戦図」となる。これならタイトルの意味がよく分かるが、それをそのまま邦題にはできない。『世界にひとつのプレイブック』という邦題も熟慮の結果付けられたのではないだろうか。

 ここで、過去の邦題の“傑作”を挙げてみよう。『哀愁』(Waterloo Bridge)、『慕情』(Love Is a Many Splendored Thing)、『追憶』(The Way We Were)など恋愛映画の古典には漢字二文字の名タイトルが多い。また『俺たちに明日はない』(Bonnie and Clyde)、『明日に向って撃て!』(Butch Cassidy and the Sundance Kid)、『華麗なる賭け』(The Thomas Crown Affair)など、登場人物の名前の原題を日本風のタイトルに変えて大ヒットした映画も少なくない。ちなみに公開中のトム・クルーズ主演作『アウトロー』も原題は主人公の名前の「Jack Reacher」だ。

 他にもタイトルが付けにくい「Close Encounters of the Third Kind=(宇宙人との)第三種接近遭遇」を『未知との遭遇』とし、「An Officer and A Gentleman=士官と紳士」を『愛と青春の旅だち』としたなど、素晴らしい邦題がたくさんある。最近は単に原題をカタカナ表記にしただけのものが多いのが残念。映画を見ながら自分で邦題を付けてみるのも一興だ。(田中雄二)


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