【週末映画コラム】壮大な“時間旅行”を定点観測で描く『HERE 時を越えて』/チームワークを旨とした戦争冒険映画『アンジェントルメン』
2025年4月4日
『HERE 時を越えて』(4月4日公開)

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地球上のある場所。恐竜が闊歩(かっぽ)する時代が過ぎ、やがて氷河期を迎え、その後オークの木が育ち、先住民族の男女が出会う。やがてその場所に家が建てられ、幾つもの家族が入居しては出ていく。
1945年、戦地から帰還したアル(ポール・ベタニー)と妻のローズ(ケリー・ライリー)がその家を購入し、息子のリチャードが誕生する。
世の中が急速に変化する中、絵を描くことが得意なリチャード(トム・ハンクス)はアーティストを夢見るようになる。高校生になったリチャードは別の学校に通う弁護士志望のマーガレット(ロビン・ライト)と恋に落ち、2人の思いがけない人生が始まる。
『フォレスト・ガンプ/一期一会』(94)のロバート・ゼメキス監督と脚本のエリック・ロス、そしてハンクスとライトが再結集し、リチャード・マグワイアのグラフィックノベル『HERE ヒア』を映画化。地球上のある地点にカメラを固定し、その場所に生きる幾世代もの家族の愛と喪失、記憶と希望を描く。
ゼメキス監督は、これまで実写とアニメーションを合成させた『ロジャー・ラビット』(88)、タイムトラベルを描いた「バック・トゥ・ザ・フューチャー」シリーズ、CGを使ってジョン・F・ケネディやジョン・レノンと主人公を交わらせた『フォレスト・ガンプ/一期一会』などで、その当時の最新の映像技術を駆使しながら、ディテールにこだわり、時空を越えたり、過去を鮮やかによみがえらせたりしてきた。
今回は、太古の昔から現代までを行き来する壮大な“時間旅行”を定点観測で描いている。しかも、ハンクスとライトが、最新VFXの技術を駆使しながら、それぞれ10代~70代を演じているのに驚かされる。その点では、特殊撮影なくしては成立しない映画だといえる。
ところが、舞台は家の中の一室からほぼ動かないので演劇を見ているような気分になる。つまり最新の映像技術を駆使した舞台劇といった感じなのだ。そうした意味では、実験作とも呼ぶべきこの新たな試みがどう目に映るかを、ぜひ映画館で体験してみてほしい。
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