【映画コラム】映画製作の舞台裏を楽しく見せる『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』

2021年5月28日 / 06:36

 今回は、6月4日公開のコメディー映画『カムバック・トゥ・ハリウッド!!』を紹介しよう。

(C)2020 The Comeback Trail, LLC All rights Reserved

 1974年のハリウッド。ギャングのレジー(モーガン・フリーマン)への借金返済に窮したB級映画のプロデューサーのマックス(ロバート・デ・ニーロ)は、危険なスタント撮影で俳優を死亡させ、保険金をせしめるという詐欺を思いつく。

 マックスは往年のスター、デューク・モンタナ(トミー・リー・ジョーンズ)を老人ホームから連れ出し、西部劇『西部の老銃士』の撮影をスタートさせる。だが、デュークは思いのほかしぶとく、マックスの策略は次々に失敗。撮影は順調に進んでしまうが…。

 この映画の監督は、デ・ニーロ主演の『ミッドナイト・ラン』(88)の脚本を書いたジョージ・ギャロ。映画に関する小ネタを挟みながら、映画製作の舞台裏を楽しく見せてくれる。

 そして、うさんくさいプロデューサーも、落ちぶれたスターも、ギャングの親分も、新人女性監督やスタッフも、実はみんな映画作りが大好きというところがこの映画の真骨頂。

 劇中映画の『西部の老銃士』と『尼さんは殺し屋』、そしてマックスがこだわる『パラダイス』という映画の脚本…。多分どれもたいしたことはないと思うが、これらも全編を見てみたくなった。

 ギャロ監督は「私はこの映画が単純に人々を笑わせることを願う。現在の私たちは暗く不確かな時代にいる。笑いというのはいいものだ」と語っている。

 ところで、この映画の基はギャロ監督が若き日に見たハリー・ハーウィッツ監督の自主映画『THE COMEBACK TRAIL』(この映画の原題と同じ)で、ギャロ監督はこれをリメークすることをずっと夢見てきたという。

 その後、亡くなったハーウィッツの妻と偶然知り合い、リメーク権を獲得。同じ頃、デ・ニーロから「何か楽しい作品をやりたい」と言われて、製作がスタートしたというのだから、これ自体が映画のような話だ。

 
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