【映画コラム】4月後半公開の映画から『人はなぜラブレターを書くのか』『今日からぼくが村の映画館』『ソング・サング・ブルー』
2026年4月24日
『人はなぜラブレターを書くのか』(4月17日公開)

(C)2026 映画「人はなぜラブレターを書くのか」製作委員会
2024年、千葉県香取市で定食屋を営む寺田ナズナ(綾瀬はるか)は、ある青年に宛てて手紙を書く。
24年前、当時17歳だったナズナ(當真あみ)は、いつも同じ電車で見かける高校生の富久信介(細田佳央太)にひそかな恋心を抱いていた。
一方、信介は進学校に通いながらプロボクサーを目指し、学校帰りにボクシングジムで練習に打ち込む日々を送っていた。そんな彼らに、運命の日となる2000年3月8日が訪れる。
そして現在、信介の両親のもとにナズナからの手紙が届く。父・隆治(佐藤浩市)は、手紙の中に亡き息子の生きた証しを確かに感じ、息子の知られざる青春の断片と成長を知る。やがて隆治は、ナズナに宛てて手紙をつづり始める。
石井裕也監督が、2000年3月に発生した営団地下鉄日比谷線の脱線事故にまつわる奇跡のような実話を基に描いたドラマ。自分も日比谷線はよく利用したので、事故現場を通る際に、事故のことが脳裏をかすめることが何度かあった。
ナズナの夫を妻夫木聡、信介が通う大橋ボクシングジムの先輩で後に世界チャンピオンとなる川嶋勝重を菅田将暉、大橋秀行会長を音尾琢真が演じ、それぞれ好演を見せる。
草野翔吾監督の『アイミタガイ』(24)や『大きな玉ねぎの下で』(25)同様、人と人との不思議な縁を描いているが、実話を基にしている点が本作の真骨頂。
ナズナが24年前に置き去りにした感情を改めて手紙に託したことで、過去と現在がつながる再生の物語であり、ナズナと信介にまつわるそれぞれの家族の話でもある。どの登場人物の視点で見るかによって感じることが異なるかもしれない。
そして成就しない初恋の切なさ、手紙の効用にはどこか懐かしさを感じるところもあった。舞台となった香取市の風景も見ものだ。
このエピソードがテレビのバラエティー番組の中で取り上げられたことは知っていたが、それを一本の映画としてきっちりとまとめた石井監督の手腕が光ると感じた。
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