【映画コラム】「2025年映画ベストテン」
2025年12月28日
今回は、筆者の独断と偏見による「2025年公開映画ベストテン」を発表し、今年を締めくくりたいと思う。
【外国映画】
2025年公開の外国映画を振り返った時に、今年の米アカデミー賞での受賞作は最近の映画界の傾向を象徴するようで興味深いものがあった。
例えば、ロシア系アメリカ人の若きストリップダンサーの生きざまを描き、作品、監督、主演女優賞ほか5部門を受賞した『ANORA アノーラ』、ハンガリー系ユダヤ人建築家の数奇な半生を描いた『ブルータリスト』、メキシコの麻薬カルテルのボスが性別適合手術を受けて女性として新たな人生を歩む姿を描いた『エミリア・ペレス』、次期ローマ教皇をめぐる選挙の様子を描いた『教皇選挙』といったインディーズ系の映画が超大作をしのいで受賞したからだ。
一方、トム・クルーズ主演の『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』や『ジュラシック・ワールド 復活の大地』といった超大作シリーズ、あるいはブラッド・ピット主演の『F1(R)/エフワン』、レオナルド・ディカプリオ主演の『ワン・バトル・アフター・アナザー』なども公開されたが、興行成績は思いのほか伸びなかった。
ハリウッド映画に限らず、外国映画全体を考えた場合も、コロナ禍以降、その低調ぶりに拍車が掛かっている感があり、日本では「邦高洋低」の傾向が深刻化している。そんな中、年末に公開された『ズートピア2』の大ヒットは、改めてディズニー&ピクサー・アニメーションの強さを示したと言えるだろう。

『教皇選挙』(C)2024 Conclave Distribution, LLC.
2025年外国映画ベストテン
1.『教皇選挙』パワーゲームを描いたミステリーとしても面白い
2.『ブルータリスト』天才建築家の孤独を描く一大叙事詩
3.『ワン・バトル・アフター・アナザー』くせ者監督PTA面目躍如の162分
4.『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』トム・クルーズにアカデミー賞を贈ってもいい
5.『F1(R)/エフワン』まるで『トップガン マーヴェリック』と兄弟のよう
6.『HERE 時を越えて』定点観測で描く時間旅行
7.『ストレンジ・ダーリン』時系列を交錯させた秀逸スリラー
8.『ANORA アノーラ』“下品な”スクリューボールコメディー
9.『サブスタンス』デミ・ムーアがそこまでやるか…異色ホラー
10.『エミリア・ペレス』挑戦的で刺激的でもあるが癖が強い
-
2025年12月20日
【映画コラム】時空を超えた愛の行方は『楓』『ビューティフル・ジャー... -
2025年11月29日
【映画コラム】実話を基に映画化した2作『ペリリュー -楽園のゲルニカ... -
2025年11月22日
【映画コラム】新旧監督の話題作が並んで公開に『TOKYOタクシー』『金髪』 -
2025年11月1日
【映画コラム】俳優同士の演技合戦が見ものの3作『爆弾』『盤上の向日葵... -
2025年10月17日
【映画コラム】初恋の切なさを描いた『秒速5センチメートル』と『ストロ... -
2025年9月27日
【映画コラム】海が舞台の『沈黙の艦隊 北極海大海戦』と『ラスト・ブレ... -
2025年9月18日
【映画コラム】映画は原作を超えたか 沖縄の現代史を背景に描いた力作... -
2025年8月10日
【映画コラム】新旧のSFアクション映画の魅力が詰まった『ジュラシック... -
2025年7月28日
【映画コラム】7月後半公開映画『木の上の軍隊』『ファンタスティック4... -
2025年7月18日
【映画コラム】7月前半『スーパーマン』『ストレンジ・ダーリン』『「桐... -
2025年6月27日
【週末映画コラム】『トップガン マーヴェリック』と兄弟のような『F1... -
2025年6月20日
【週末映画コラム】老匠による究極の独り善がり映画『メガロポリス』/... -
2025年6月13日
【週末映画コラム】ダイヤモンド・プリンセス号の内部で一体何が起こっ... -
2025年6月6日
【週末映画コラム】伝統について考えてみる 歌舞伎役者として芸道に人... -
2025年5月30日
【週末映画コラム】唯一無二の女優の生涯を追った『マリリン・モンロー ... -
2025年5月23日
【週末映画コラム】トム・クルーズにアカデミー賞を贈ってもいい『ミッ... -
2025年5月16日
【週末映画コラム】異色ホラーを2本 デミ・ムーアがそこまでやるか…『... -
2025年5月9日
【週末映画コラム】パディントンの愛らしさが全てを救う『パディントン ... -
2025年5月2日
【週末映画コラム】50年の時を経て製作された『新幹線大爆破』新旧2作を...
