エンターテインメント・ウェブマガジン
佐藤 後半は、家族の手応えがすごく良かったから、逆に前半部分は大丈夫かなと途中で心配になっちゃいました。でも全く違う味わいの中でそれがちゃんと成立しているのを見て、「さすが石井だな」というのは思ったし、逆に言うと、家族の時とはまたちょっと違うニュアンスの中で2人(松岡と窪田正孝)が頑張ってうまい具合にやっていたし、(仲野)太賀たちもうまく絡んでいたから、そういうのを見て、「あー、これはうまくできているな」と思いました。
若葉 僕もこの映画の持つ力を感じました。今は整理整頓されて、1回見たらいいやと思う映画が多い中で、この手触りというか、ザラザラした感じは唯一無二な気がしました。だから、個人的には何回も見たくなる映画になったんじゃないかなと思います。
池松 ジャンル分けできませんよね。「明日への逆境反逆アフターコロナファミリーラブコメディー」みたいな感じでしょうか。強いて言えば、私たち自身についての映画だと思っています。終末観すら漂っていたあの時を舞台に、この世界の寂しさや未練について、そしてこれからの時代に残された人間の可能性についての映画になっています。主人公が恋人に出会い、駄目な家族を巻き込んで行う、自分を取り巻く世界への反逆、明日への逆転劇。誰かの人生を後押しする力のある物語で、自分自身もこの映画に強く励まされました。
佐藤 いろいろな登場人物が出てきますが、誰もが何らかの形で、見る側の人たちのふに落ちる部分を持っている。無理して、わざわざかき回すためだけに出てくる人は1人もいなくて、何となく「あっ、いるよね」という人たちが出てくる中で、それがうまい具合に重なっているところが、この映画の魅力でもあるし、面白さでもある。肩肘張らずに見ながら、でも、ちゃんといろんなものを感じてもらえる映画にはなったと思います。
若葉 僕が「このシーンが好きだ」と言ったりすると、そこにばかり注目して見られるのもあれなんで。見た人が「私はこのシーンが好きだ」というシーンを一つ見つけてくれると、とってもうれしいです。そういう見方も楽しんでみてください。
池松 先ほども話しましたが、この映画はどこかのおとぎ話でも、客席から遠い映画の中の物語でもなく、自分たちがこの世界で生きていること、生活していることと地続きにある物語です。そして、愛と勇気と優しさをもらえる“アンパンマンみたいな映画”になっていると思います。コロナを共に経験し、共にマスクを付けた全ての人に見てもらえたらと思います。このゆがんだ世界でそれでも人として正しくありたいと願い続ける憎まれっ子が世にはばかります。ぜひ、花子と変な彼氏と駄目な家族に会いに来てください。
(取材・文/田中雄二)

(C)2023「愛にイナズマ」製作委員会
映画2025年11月14日
-撮影で特に印象に残った場面を教えて下さい。 近所の少年たちにいじめられた幸太が大雨の中、おじさんの家の前で黙って座り込んでいるシーンが、すごく印象に残っています。カメラに綺麗に映るように、大量の雨を降らせていたので、その水圧がものすごく … 続きを読む
2025年11月14日
YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼玉田永教と神道講釈 銭湯の湯け … 続きを読む
映画2025年11月13日
-その結果、完成したこの映画では、強盗団が使う刀やナイフのほか、列車備え付けのシャッターや消火器、乗客の荷物など、一見武器になりそうにない身近なものを使った多彩なアクションが見所です。そういうアイデアはどこから生まれたのでしょうか。 私は … 続きを読む
映画2025年11月11日
-ジュゼッペ役の佐野晶哉さんの印象はいかがでしたか。 ご一緒するのは今回が初めてでした。先に佐野さんの声が吹き込まれている状態でアフレコをさせていただきましたが、1日だけ一緒にお芝居ができた日がありました。その時に、第一声から本当に迷いな … 続きを読む
ドラマ2025年11月10日
草なぎ剛主演の月10ドラマ「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜午後10時)。第3話で強烈なインパクトを残したゆずは(八木莉可子)の母(雛形あきこ)が、再びHeaven’s messenger … 続きを読む