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一方、市原は、今回で自ら引退を決めた知家の決断を、「自分ではない誰かの思想で未来を決めるのではなく、己の道を自分で決めていくというのが八田らしいなと思いました」と支持。その上で、その言葉に込めた思いを次のように説明した。
「どの時代も、時代につくられてしまう人間が多いと思うんです。その中で、時代につくられるのか、時代をつくるのかと言うと、知家は『自ら時代をつくってやろう』と。存在意義を、精いっぱい旗を振りながら『俺はここで生きているんだ』というのを、必死に汗をかいて。それが決して押しつけではなく、誰かに認めてほしいわけでもないと思うんです」
さらに、「自分を納得させるために自分で自分の生き方を選ぶ、自分の主君は自分である、という思いでずっと演じていました」と胸の内を明かした。
また、今回、知家が最後の仕事として挑んだ船の建造については、海に浮かべることには失敗したものの、「ロマンなんですよ。やっぱりなんでもロマンです」と力説。
続けて、「こういう時代劇であっても、当時のことを知っている人間はいないんです。『日本人はこうであってほしい』という、ある意味ロマンが含まれていまして、それがまたNHK大河ドラマなりのロマンを描かせていただいているわけで、その中の八田知家というのは、それもまた八田知家が思うロマンですので。『こうなりたい』『こうしたい』という思いももちろん大事なんですけど、そこに向かっていく思いが、一番自分を強くしてくれるんです」と持論を展開した。
そして、「形ではなく目には見えないプロセスを一番大切にする知家としては、失敗だとか、できなかったということは思ってはいないのではないでしょうか。まだまだこれからやり続ければ、途中で終わったということはないですし、諦めなければいつかは成功すると思いますので、そんな思いでやっていました」と結論付けた。
市原は最後に、知家として過ごした時間を、「人生で一番悩みました。難しかったです。この役は本当に難しかったです」と述懐。
だが、その分、得たものも大きく、「ただ、この八田知家という役を通じて、今回、この『鎌倉殿の13人』、こんなに愛をもらえるとは思っていなかったです。本当に死ぬほどうれしいです。何にも代えられない財産を頂きましたので、本当にすてきな、貴重な経験をさせていただいて心から感謝しています」と語って、言葉を締めくくった。
(構成/井上健一)
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