「鎌倉殿の13人」さらば、北条時政&八田知家! 坂東彌十郎「三谷幸喜さんに感謝」市原隼人「何にも変えられない財産」

2022年11月6日 / 21:00

 一方、市原は、今回で自ら引退を決めた知家の決断を、「自分ではない誰かの思想で未来を決めるのではなく、己の道を自分で決めていくというのが八田らしいなと思いました」と支持。その上で、その言葉に込めた思いを次のように説明した。

 「どの時代も、時代につくられてしまう人間が多いと思うんです。その中で、時代につくられるのか、時代をつくるのかと言うと、知家は『自ら時代をつくってやろう』と。存在意義を、精いっぱい旗を振りながら『俺はここで生きているんだ』というのを、必死に汗をかいて。それが決して押しつけではなく、誰かに認めてほしいわけでもないと思うんです」

 さらに、「自分を納得させるために自分で自分の生き方を選ぶ、自分の主君は自分である、という思いでずっと演じていました」と胸の内を明かした。

 また、今回、知家が最後の仕事として挑んだ船の建造については、海に浮かべることには失敗したものの、「ロマンなんですよ。やっぱりなんでもロマンです」と力説。

 続けて、「こういう時代劇であっても、当時のことを知っている人間はいないんです。『日本人はこうであってほしい』という、ある意味ロマンが含まれていまして、それがまたNHK大河ドラマなりのロマンを描かせていただいているわけで、その中の八田知家というのは、それもまた八田知家が思うロマンですので。『こうなりたい』『こうしたい』という思いももちろん大事なんですけど、そこに向かっていく思いが、一番自分を強くしてくれるんです」と持論を展開した。

 そして、「形ではなく目には見えないプロセスを一番大切にする知家としては、失敗だとか、できなかったということは思ってはいないのではないでしょうか。まだまだこれからやり続ければ、途中で終わったということはないですし、諦めなければいつかは成功すると思いますので、そんな思いでやっていました」と結論付けた。

 市原は最後に、知家として過ごした時間を、「人生で一番悩みました。難しかったです。この役は本当に難しかったです」と述懐。

 だが、その分、得たものも大きく、「ただ、この八田知家という役を通じて、今回、この『鎌倉殿の13人』、こんなに愛をもらえるとは思っていなかったです。本当に死ぬほどうれしいです。何にも代えられない財産を頂きましたので、本当にすてきな、貴重な経験をさせていただいて心から感謝しています」と語って、言葉を締めくくった。

(構成/井上健一)

八田知家役の市原隼人 (C)NHK

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】時空を超えた愛の行方は『楓』『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』『星と月は天の穴』

映画2025年12月20日

『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』(12月19日公開)  友人の結婚式で知り合ったデビッドとサラは、レンタカーのカーナビに導かれ奇妙なドアにたどり着く。そのドアの先は、それぞれの「人生で一番やり直したい日」につながっていた。“ … 続きを読む

北香那「ラーメンを7杯くらい食べたことも」天野はな「香那ちゃんのバレエシーンは見どころ」 「ラーメン」と「クラシック・バレエ」が題材のコメディーで共演 NHK夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」完成会見

ドラマ2025年12月19日

 12月19日、東京都内のNHKで、1月5日からスタートする夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」の完成会見が行われ、主人公・千本佳里奈(ちもと かりな)役の北香那、佳里奈の親友・二木優美(ふたぎ ゆみ)役の天野はながドラマの見どころを語ってくれた。 … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(9)浅間神社で語る「厄よけの桃」

舞台・ミュージカル2025年12月18日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。  前回は、玉田家再興にあたり「三つ … 続きを読む

石井杏奈「人肌恋しい冬の季節にすごく見たくなる映画になっています」『楓』【インタビュー】

映画2025年12月17日

-実際に福士さんと共演してみていかがでしたか。  とてもすてきな方で、待ち時間にちょっとお話できたんですけど、すごく温厚な方でした。お芝居に関してはすごく真面目でストイックで、「このせりふはこうやって言ってみるのもありかも」というような優し … 続きを読む

染谷将太 天才絵師・歌麿役は「今までにない感情が湧きあがってきた」 1年間を振り返る【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月15日

-ご自宅でも絵の練習をされたそうですね。  台本が来るたびに絵を担当するチームとの打ち合わせがあり、練習用の絵が並んだ計算ドリルのようなプリントを数十枚いただくので、それを自宅に持ち帰り、宿題のように繰り返し描いて練習していました。 -歌麿 … 続きを読む

Willfriends

page top