風間俊介「横浜流星くんと談笑する機会が増えてきたことが嬉しい」蔦重と和解した鶴屋喜右衛門役への思い【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

2025年6月29日 / 20:45

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。6月29日放送の第25回「灰の雨降る日本橋」では、浅間山の噴火によって降り積もった灰を片付ける“灰捨て競争”を経て、日本橋進出を目指す蔦重は、対立してきたライバルの地本問屋・鶴屋喜右衛門とついに和解。鶴屋喜右衛門を演じる風間俊介が、役に対する思いや蔦重役の横浜流星の印象などを語ってくれた。

(C)NHK

(C)NHK

-第25回、灰捨て競争を経て、鶴屋が蔦重と和解するのはサプライズな展開でした。

 灰捨て競争という蔦重のアイデアに、鶴屋が賛同する点が意外で面白いですよね。ただその根本には、これまでと同じ「自分たち本屋業界にとって利になるかどうか」という判断基準があるんです。灰捨て競争によって、通油町の人々の士気が上がるのはいい。でも、それが蔦重の発案ということは許せない。だから、自分が賞金を出すことで、その手柄を譲らないようにした…と僕は解釈しました。

-これまで知的で冷静だった鶴屋喜右衛門が、本気で蔦重と熱い戦いを繰り広げていたのも意外でした。

 元々、“鶴屋”は上方にルーツのある地本問屋で、鶴屋喜右衛門は自分では上方の人間のつもりでいたはずです。それでも、江戸で暮らしているので、江戸っ子の“粋”みたいなものが芽生えてきた部分もあると思うんです。あのとき、そういうものが抑えきれなくなってしまったんじゃないかなと。実は競争するとき、なぜか鶴屋は下駄履きなんです。その分、走るのが遅くなるのに。すぐ近くに自分の店があるので、履き替えることもできたはずですが、「こんなことに本気になっている」と思われたくなかったのでしょう(笑)。でも、いざ競争したら、「絶対に負けたくない!」という気持ちが出てしまったんでしょうね。

-蔦重と和解した鶴屋の中には、そういう気持ちが以前からあったのでしょうか。

 鶴屋は元々、本屋としての蔦重の力を認めていたと思います。その証拠に、今まで他の地本問屋たちが蔦重を馬鹿にしていたときも、嫌味は言っても鶴屋が嘲笑(ちょうしょう)するようなことはなかったはずですから。それはつまり、認めているがゆえに、認めてはならぬ、ということだったのかなと。それが一気に氷解したのが第25回で、蔦重と笑い合うときは、僕の心が赴くままにやらせていただいた結果、思わず吹き出す感じになり、それまでの“作り笑顔”とはまったく違う心からの笑顔になったと思います。

-そんな蔦重役の横浜流星さんの印象はいかがでしょうか。

 ストイックかつ物静かで、作品作りに真摯(しんし)に取り組む姿はどこかミステリアス。そんな横浜流星くんが、カラッとした江戸っ子の蔦重を演じていることにしびれます。元々快活で、先頭に立ってみんなを引っ張っていくようなタイプなら驚くこともありませんが、彼は俳優として、本来の自分とは異なる豪快な蔦屋重三郎のキャラクターをしっかりと作り上げている。その上で、まったくノッキングすることなく、シームレスにアウトプットする。その姿が非常に美しいな…と。

-鶴屋と蔦重のように、撮影を通じて横浜さんとの関係が変化してきた部分もあるのでしょうか。

 長く撮影しているおかげで、流星くんと談笑する機会が増えてきたことがうれしいです。「僕の話で流星くんが笑ってくれた!」みたいな喜びがあって(笑)。大河ドラマの主役を務めるに当たって、流星くんはとてつもなく重いものを背負ってスタートを切ったに違いありませんから。

(C)NHK

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

栗田貫一「今回はルパンたちが謎の世界に迷い込んで謎の敵と戦って、しかも前に倒した連中もよみがえってくるみたいな感じです」『LUPIN THE IIIRD THE MOVIE 不死身の血族』【インタビュー】

映画2025年6月27日

 あのルパン三世が、約30年ぶりに2Dの劇場アニメーションとして帰ってくる。舞台は地図に載っていない謎の島。お宝を狙って乗り込んだルパン一行を待ち受けていたのは正体不明の存在だった。前代未聞のスケールで描かれ、全ての「ルパン三世」につながる … 続きを読む

光石研、大倉孝二「ちょっと重いけれどちゃんとエンターテインメントになっていると思います」『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』【インタビュー】

映画2025年6月27日

 日本で初めて教師による児童へのいじめが認定された体罰事件を題材にした福田ますみのルポルタージュを三池崇史が映画化した『でっちあげ ~殺人教師と呼ばれた男』が6月27日から全国公開された 。本作の主人公・薮下誠一(綾野剛)が勤める小学校の校 … 続きを読む

【週末映画コラム】『トップガン マーヴェリック』と兄弟のような『F1(R)/エフワン』/過酷な救急医療現場にリアルに迫った『アスファルト・シティ』

映画2025年6月27日

『F1(R)/エフワン』(6月27日公開)  かつてF1ドライバーとして活躍したソニー・ヘイズ(ブラッド・ピット)は、今は身を持ち崩し、フリーのレーサーとしてさまざまなレースに出場していた。だが、最下位に沈むF1チーム「エイペックス」の代表 … 続きを読む

桐山照史「ジュリエットは時生でなければできない」 柄本時生、「見ていいよ」の言葉で「女子になれた」 「泣くロミオと怒るジュリエット2025」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年6月25日

 WEST.の桐山照史がロミオ、柄本時生がジュリエットを務める、Bunkamura Production 2025「泣くロミオと怒るジュリエット2025」が7月6日から上演される。本作は、映画『愛を乞うひと』の脚本などでも知られる劇作家・演 … 続きを読む

えなりかずき イメージを覆す“暴君”・松前道廣役は「稲垣吾郎さんが『十三人の刺客』で演じた極悪非道な殿様を参考に」【大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

ドラマ2025年6月22日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。幕府の財政再建を目指す老中・田沼意次(渡辺謙)は、抜荷(ぬけに=密貿 … 続きを読む

Willfriends

page top