【週末映画コラム】『トップガン マーヴェリック』と兄弟のような『F1(R)/エフワン』/過酷な救急医療現場にリアルに迫った『アスファルト・シティ』

2025年6月27日 / 08:00

『F1(R)/エフワン』(6月27日公開)

(C)2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.

 かつてF1ドライバーとして活躍したソニー・ヘイズ(ブラッド・ピット)は、今は身を持ち崩し、フリーのレーサーとしてさまざまなレースに出場していた。だが、最下位に沈むF1チーム「エイペックス」の代表であり、かつてのチームメートでもあったルーベン・セルバンテス (ハビエル・バルデム)の誘いを受けて彼のチームに加わる。

 常識破りなソニーの振る舞いに、チームメートである新人ドライバーのジョシュア・ピアース(ダムソン・イドリス)やピットクルーたちは困惑し、衝突を重ねるが、次第にソニーの圧倒的な才能と実力に魅せられていく。ソニーはチームと共に過酷な試練を乗り越え、並み居る強敵を相手に命懸けで頂点を目指す。

 モータースポーツの最高峰であるF1に挑むレーサーたちの姿を描いたエンターテインメント大作。F1の全面協力を得て、グランプリ開催中の実際のサーキットコースを使って撮影を敢行(日本の鈴鹿も登場する)。世界チャンピオンにも輝いた現役F1ドライバーのルイス・ハミルトンもプロデューサーとして参加している。チームを支えるピットクルーのリーダーであるケイトをケリー・コンドンが演じた。

 この映画の、製作ジェリー・ブラッカイマー、チャド・オマン、監督ジョセフ・コシンスキー、脚本アーレン・クルーガー、撮影クラウディオ・ミランダ、音楽ハンス・ジマーというスタッフは、トム・クルーズ主演の『トップガン マーヴェリック』(22)と全く同じ。

 舞台は空から陸へ、舞台装置は戦闘機からレーシングカーへ、主演はトムからブラピへと変わったが、主人公の再生劇、ベテランと若手との関係性、あるいは主人公を軸にしたチームプレー、極限状態での底力の発揮という設定、そして爆音と進化型のカメラシステムを駆使した臨場感あふれる体験型映画という点でも、この2作はまるで兄弟のようによく似ている。だから『トップガン マーヴェリック』を楽しめた人は間違いなくこの映画も楽しめるだろう。

 ほぼ同年代のブラピがトムの向こうを張って「俺だってやれるぜ」とばかりに挑んだ力作。まるで自分がレーシングカーのコックピットにいるような気分が味わえる。ちなみにオープニングに流れる曲は『トップガン マーヴェリック』がケニー・ロギンスの「デンジャー・ゾーン」なら、こちらはレッドツェッペリンの「胸いっぱいの愛を」だ。

 
  • 1
  • 2

Willfriends

page top