「第39回はほぼ全編、志ん生=孝蔵のシーン。驚きました」森山未來(美濃部孝蔵)「森山未來の芝居は絶品」大根仁(演出)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年10月13日 / 10:00

 1940(昭和15)年の東京オリンピック開催を返上し、日本は太平洋戦争へと突入。田畑政治(阿部サダヲ)や金栗四三(中村勘九郎)らの思いをよそに戦争が暗い影を落とす中、10月13日放送の第39回では、美濃部孝蔵=古今亭志ん生と三遊亭圓生(中村七之助)、学徒出陣で出征した小松勝(仲野太賀)の3人を中心に、満州での日々が描かれる。それは、孝蔵に大きな転機をもたらすと同時に、これまでほのめかされてきた志ん生と五りん(神木隆之介)をつなぐ謎が明らかになる重要なエピソードでもある。孝蔵役の森山未來と演出を担当した大根仁が、放送を前に見どころを語った。

美濃部孝蔵=古今亭志ん生役の森山未來

-第39回の台本を読んだときの感想は?

森山 それまで、ドラマの中に細く長く…というか、飛び道具的にぽんぽん入らせていただいていたのが、いきなりほぼ全編、志ん生=孝蔵のシーン。もう単純に驚きました。これまでばらまかれてきた壮大な伏線の回収がここで行われるというのも、すごいなと。よくできた台本だと思いました。

-孝蔵は、三遊亭圓生と共に満州へ渡ることになりますが、圓生役の中村七之助さんの印象は?

森山 圓生さんは、芸に対して非常にストイックで、色気のある人だったと聞いているので、七之助さんにぴったりだなと。もちろん、はなし家なので落語をやるわけですが、 “艶のある女性をどうやるのか”という皆さんの期待に、話の部分で応えてくれると思うので、僕も楽しみにしています。

-志ん生にとって、満州という場所はどんな意味があるのでしょうか。

森山 いろいろな人の話や文献によると、戦争以降、志ん生さんの芸がいい意味で変わったそうです。どこにいても変わらないと思っていた人の芸が変わったということは、満州でそれほど壮絶なことが起きているはず。でも、志ん生さん自身は、その辺のことをあまり詳しく語っていないんです。ただ、芸事全てに通じることですが、「はなし家はある程度のところまでは技術を鍛錬できるけど、その先は、その人の人生みたいなものが表れる」と落語指導の古今亭菊之丞師匠がおっしゃっていたんです。そうすると、満州が志ん生の大きなターニングポイントになるのであれば、ここで何かが確立されなければいけない。

-なるほど。

森山 “破れかぶれな芸風”と言われている志ん生さんですが、満州で自分の人生を決定づける何かが生まれてしまう。それまで、ふらふらして“飲む、打つ、買う”ばかりだった人に、ここで根っこに重たいものがずしっと下りるのかなと。勝手な妄想ですが、満州で「生きているだけで丸もうけ」というか「これでいいじゃねぇか」みたいな、いい意味での開き直りのようなものが生まれたのではないでしょうか。とはいえ、“飲む、打つ、買う”は今後も続くかもしれませんが(笑)。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

織山尚大、芸能活動10周年を迎え「今のこの年齢で演じる意味がある」 舞台「エクウス」で3年ぶりの主演【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月29日

 映画『うちの弟どもがすみません』やドラマ『リベンジ・スパイ』など、数々の映画やドラマ、舞台で活躍する織山尚大の3年ぶりの主演舞台となる「エクウス」が1月29日から上演される。本作は、実際に起きた事件を基に描かれた、ピーター・シェーファーに … 続きを読む

【映画コラム】「2025年映画ベストテン」

映画2025年12月28日

 今回は、筆者の独断と偏見による「2025年公開映画ベストテン」を発表し、今年を締めくくりたいと思う。 【外国映画】  2025年公開の外国映画を振り返った時に、今年の米アカデミー賞での受賞作は最近の映画界の傾向を象徴するようで興味深いもの … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】家族の情緒が国境を越える、俳優ムン・ソリが語る「おつかれさま」ヒットの理由

ドラマ2025年12月26日

 今年のヒットドラマ、Netflixシリーズ「おつかれさま」。子どもから親へと成長していく女性の人生とその家族を描き、幅広い世代から支持され大きな話題を呼んだ。IU(アイユー)との二人一役で主人公エスンを演じたムン・ソリに、ドラマの振り返り … 続きを読む

田中麗奈「こじらせ男の滑稽で切ない愛の行方を皆さんに見届けていただきたいと思います」『星と月は天の穴』【インタビュー】

映画2025年12月24日

 脚本家としても著名な荒井晴彦監督が、『花腐し』(23)に続いて綾野剛を主演に迎え、作家・吉行淳之介の同名小説を映画化した『星と月は天の穴』が12月19日から全国公開された。過去の恋愛経験から女性を愛することを恐れながらも愛されたい願望をこ … 続きを読む

天海祐希、田中哲司、小日向文世、でんでん、塚地武雅「12年の集大成を見届けてください!」大ヒットシリーズ、ついに完結! 劇場版「緊急取調室 THE FINAL」【インタビュー】

映画2025年12月23日

 2014年1月にスタートしたテレビ朝日系列の大ヒットドラマ「緊急取調室」。たたき上げの取調官・真壁有希子が、可視化設備の整った特別取調室で取り調べを行う専門チーム「緊急事案対応取調班(通称:キントリ)」のメンバーとともに、数々の凶悪犯と一 … 続きを読む

Willfriends

page top