「宮藤官九郎さんの脚本が面白いので、新しい大河ドラマのファンが増えるのでは」役所広司(嘉納治五郎)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年1月18日 / 14:49

-序盤の見どころとなるストックホルムロケにも参加されたそうですが、感想は?

 100年以上前にオリンピックが開催されたスタジアムがそのまま残っていました。ただ、外観は当時のままですが、フィールドは近代的に整備されていたので、撮影のために大量の砂を運び込み、当時の状態を再現しました。そのおかげで、初めて日本人選手が入場行進をした当時の雰囲気が見事に再現できたと思います。ロケをした価値は十分にありました。

-現地で、当時の嘉納さんの気持ちを感じることはできましたか。

 嘉納さんは海外視察の経験なども豊富なので、それほどカルチャーショックは受けなかったと思いますが、金栗さんはどうだったのかと、そっちの方が気になりました(笑)。それまで日本しか知らなかったのに、いきなり見ず知らずの外国に連れてこられたわけですから。ただ、金栗さんはストックホルムでは有名なので、スタジアムの通路に写真がたくさん飾ってあるんです。それを見たら、昔、ここに日本人が確かに来たんだな…と改めて感じることができました。

-ご自身が考えるこの作品の面白さは?

 大河ドラマなので、できるだけ歴史に忠実に描かれているのは皆さんご存じの通りです。ただ今回は、歴史上の有名人が続々と登場する今までの大河ドラマと違い、一番の有名人が嘉納治五郎。スタッフからは「唯一の有名人」と言われるほどです(笑)。でも逆に、金栗四三や三島弥彦(生田斗真)、後半の主人公・田畑政治(阿部サダヲ)など、今まであまり知られていなかった歴史上の人物がたくさん登場してきます。明治・大正・昭和にかけて、これだけ頑張った日本人がいたんだと知ることができるのは、大きな見どころではないでしょうか。ぜひ楽しみにしていただきたいです。

-このドラマに期待することは?

 100年以上も前、世界と戦うために金栗さんや嘉納さんが遠いストックホルムまで行ったことをきっかけに、日本でスポーツが発展してきました。そのおかげで今、僕たちはスポーツを見て感動することができるわけです。このドラマではその過程が細部まで丁寧に、ユーモラスに描かれています。だから、スポーツを通じた国際交流の意義を改めて感じてもらえたらいいですね。同時に、関東大震災や第2次世界大戦など、さまざまな困難を乗り越えていくためにもスポーツを続けようとする人たちの物語でもあります。そういう意味では、東日本大震災をはじめ、地震や豪雨などの災害が続く今こそ、スポーツを通じて皆さんに元気を与えるドラマになることを期待しています。

(取材・文/井上健一)

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