「日本人はこんなにピュアな気持ちでオリンピックに取り組んでいたんだと気付かされました」宮藤官九郎(脚本家)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年1月2日 / 10:00

 1月6日(日)から始まる大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」。日本が初参加した1912年のストックホルムから64年の東京まで、激動の半世紀のオリンピックと日本人の歴史を笑いと涙でつづる物語だ。脚本を手掛けるのは、連続テレビ小説「あまちゃん」(13)の宮藤官九郎。明治から昭和に至る近現代を舞台に、2人の主人公のリレー形式でつむぐ異色の大河ドラマに込めた思いを聞いた。

脚本の宮藤官九郎

-大河ドラマの脚本を担当する意気込みを。

 もともとは大河ドラマと決まっていたわけではなく、プロデューサーと一緒に「何か面白いことをやりましょう」という話から始まったんです。それが次第に「これ、大河ドラマになりますかね?」という話になり、「こんなの、今までの大河ドラマにないですよね」と言っているうちに決まった、という感じです。従来の大河ドラマには、例えば(織田)信長ならこの場面、(坂本)龍馬ならこれ、という定番の場面がありますが、『いだてん』にはそういうものがありません。合戦や討ち入りもない。その代わり、陸上や水泳といったスポーツが見せ場になるので、最初に思っていたよりは大河ドラマらしくなったのではないでしょうか。この道を踏み外さないように、最後まで頑張ります。

-主人公を金栗四三(中村勘九郎)に決めた理由は?

 オリンピックに関するドラマを作ると決まったとき、日本人が初めてオリンピックに関わることになったところから物語を始めたいと思いました。そこに登場する数人の中で、最も感情移入したのが金栗さん。僕自身、勝ち進んだり、上り詰めたりする人より、それを目指しながらも、達成できなかった人の方に親近感が湧くので。そういう目線でドラマを作ろうと考えたとき、みんなの期待を背負ってストックホルムに行ったのに大惨敗してしまった金栗さんに人間味を感じたんです。

-金栗さんはストックホルムの件も含めて、ユニークなエピソードが豊富な人ですが、印象的なものは?

 毎日、朝起きると頭から水をかぶっていたとか、結婚しても夫婦一緒に暮らさず、ずっと東京にいた、なんて話は面白いですね。それだけでなく、指導者になった後はやる気のない選手を蹴飛ばして練習させたこともあったらしく、そういう話を聞くと、ただのいい人ではなかったことが分かり、ますます好きになりました。ただ、ドラマにしづらい部分もあるので、全部を盛り込むわけにいかないのが難しいところですが。演じる勘九郎くんとは一緒に歌舞伎を2作やったことがありますが、ものすごくダイナミックな芝居をする人だという印象を持ったので、今回も期待しています。

-もう一人の主人公・田畑政治についてはいかがでしょうか。

 オリンピックの話をやる以上、1964年の東京オリンピックに到達しないといけないだろうと。ただ、金栗さんは東京オリンピックには関わっていません。そこで、どうしようと思っていろいろと調べる中で、田畑さんが話題に上がってきました。よくよく見ていくと、東京にオリンピックを招致した功労者であるにもかかわらず、口が災いして開催直前に重要なポストから外されている。これは面白いと思って、金栗さんからバトンを渡すような形で、後半は田畑さんを主人公にすることにしました。

-田畑を演じるのは、これまで宮藤さんと何度も顔を合わせている阿部サダヲさんですね。

 田畑さんは最近の人なので、資料がたくさん残っています。その中で、田畑さん本人の話と周囲の人が田畑さんについて語った話を突き合わせてみると、だいぶ食い違っている。つまり、本人はこう考えてやったつもりなんだけど、周りにはそれが伝わっていない。でも、話のテンションと勢いだけは伝わってくるから、何かしてあげたくなる。そういう愛されキャラだったらしく、阿部くんにピッタリだなと。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

佐々木蔵之介「毎朝、亡き大森一樹監督に思いをはせながら現場に通っていました」名監督の遺志を継いで主演に挑んだ時代劇『幕末ヒポクラテスたち』【インタビュー】

映画2026年5月8日

 大ヒット作『ゴジラ-1.0』(23)からNHKの大河ドラマ「光る君へ」(24)まで、幅広い作品で活躍を続ける佐々木蔵之介。その主演最新作が、幕末の京都の小さな村を舞台にした医療時代劇『幕末ヒポクラテスたち』(5月8日公開)だ。中国・唐由来 … 続きを読む

ミュージカル「メリー・ポピンズ」通算250回公演達成! 濱田めぐみ「長く長く上演していけたら」 大貫勇輔「毎公演、奇跡を起こせるように」

舞台・ミュージカル2026年5月5日

 ウォルト・ディズニーが映画化し、アカデミー賞5部門を受賞した映画を原作とした、ミュージカル「メリー・ポピンズ」。現在上演中の日本プロダクションが、5月6日に記念すべき250回公演を迎える。それに先立ち、メリー・ポピンズ役の濱田めぐみと、バ … 続きを読む

三山凌輝、「愛の不時着」でミュージカル初挑戦 「これまでのパフォーマンスの集大成でもある」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年5月3日

 元BE:FIRSTのメンバーで、朝の連続テレビ小説「虎に翼」でヒロインの弟役を演じて話題を集めた三山凌輝が、ミュージカル「愛の不時着」でミュージカル初主演を果たす。韓国の財閥令嬢と朝鮮人民軍軍人の国境を超えた愛を描いた本作は、2019年か … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第16回「覚悟の比叡山」“守られる側”の農民から“守る側”の侍になった小一郎と藤吉郎の覚悟【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年4月28日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=木下小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(=木下藤吉郎/池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。4月26日に放送された第16回「 … 続きを読む

ゆうちゃみ「るり子が現実にいたらめっちゃ親友になれそうやなっていう感じでした」『アギトー超能力戦争ー』【インタビュー】

映画2026年4月28日

 仮面ライダー生誕55周年記念作『アギトー超能力戦争ー』が4月29日から全国公開される。本作で主要キャストの1人である葵るり子を演じたゆうちゃみに、映画初出演への思いなどを聞いた。 -出演が決まった時の心境は?  「マジ、ドッキリ?」みたい … 続きを読む

page top