紅ゆずる、歌舞伎町の女王役に意欲「女王としてのたたずまいや圧倒的な存在感を作っていけたら」【インタビュー】

2025年7月4日 / 08:00

 2019年に宝塚歌劇団を退団して以降、今も多方面で活躍を続ける紅ゆずる。7月13日から開幕する、ふぉ~ゆ~ meets 梅棒「Only 1,NOT No.1」では初めて全編ノン・バーバル(せりふなし)の作品に挑戦する。

 物語の舞台は歌舞伎町。秋田の高校で青春を共に過ごした塩崎犬太(松崎祐介)と新井場廻(越岡裕貴)は上京し、歌舞伎町でホストとして働いていた。ある時、憧れの先輩が勤めていた店を去ったことから、二人は新宿中を駆けずり回り、ヤクザの下っ端の益子龍(辰巳雄大)とお笑い芸人の長島茶太郎(福田悠太)という仲間を見つける。そして、寄せ集めのホスト4人はホストクラブ「WHITE KNIGHT」で奮闘する。

 紅が演じるのは4人にアドバイスを贈る、“歌舞伎町の女王”クレア。紅に同作への意気込みや“歌舞伎町の女王”という自身の役柄について話を聞いた。

紅ゆずる (ヘアメーク:masaki/スタイリスト:鈴木仁美) (C)エンタメOVO

-ふぉ~ゆ~と梅棒が初めてコラボし、2022年に初演された作品の再演となる本作。出演が決まったときはどんなお気持ちでしたか。

 歌舞伎町の女王役ということでしたので、すごく楽しそうだなと思いました。これまでやったことがないお役なので。

-初演をご覧になった感想は?

 踊りだけでも歌だけでもないエンターテインメントショーで、バランスがベストな作品だなと思いました。ただただ楽しんで見ることができる作品だと思います。

-ノン・バーバル作品になりますが、それについてはいかがですか。

 (取材当時)お稽古もこれからなので、まだそれほど実感もないです。ただ、私が演じるクレアという役は、お客さまに状況説明をする役目なので、せりふもあるんですよ。なので、女王としてのたたずまいや圧倒的な存在感を作っていけたらと思います。

-歌舞伎町の女王という役どころを演じる機会はあまりないですよね。

 ないですね。ただ、最近、北新地や銀座、歌舞伎町などで働いている方の動画を見るのが好きなんですよ。どうしてその世界に入ったのか、どうやってのし上がってきたのかというバックボーンに興味があって。なので、私としてはすごくタイムリーで面白いなと思いました。

-そうすると、歌舞伎町の女王という役柄もイメージがつきやすいのでは?

 イメージはつきますが、もっと深掘りしていきたいなと思っています。「クレア」はきっと源氏名だと思うので、本名はなんていうんだろうとか、どこ出身で、どうやってここまでのし上がってきたんだろう…とか。実は以前、北新地のクラブと呼ばれるお店に連れて行っていただいたことがあって、そのときに銀座のチーママなのかと聞かれたことがあったんです(笑)。なので、そう見えるのかもしれないです。

-新宿や歌舞伎町にはなじみや思い出はありますか。

 行ったことがないんですよ。「行きまくっています」と言いたいところですが(笑)。ただ、北新地の雰囲気は分かります。

-北新地はどのような街ですか。

 ある程度決まり事があって、その一線は超えてはいけないのだろうなと思います。あくまでもイメージですが、きっと銀座に近いのではないかなと私は思っています。決められたルールがあるからこそ、その中で輝くことができるのだろうなと。何も制限がなく「何をやってもいいよ」となったら、面白くない。制限があるからこそ、自分自身も輝ける。お水の世界で永遠に輝き続けるというのは、難しいことだと思うんですよ。でも、期限があるからこそ華やかでいられる。今回のクレアもそうですが、夜の世界に私はそういうイメージを持っています。クレアはそうしたことを経験して歌舞伎町の女王となったのかなと考えています。

-ふぉ~ゆ~、そして梅棒との共演で楽しみにしていることは?

 梅棒さんとしての共演は初めてですが、梅澤(裕介)さんとは先日、ご一緒し、そのときに天野(一輝)さんが振り付けをしてくださいました。それから、(本作の作・総合演出も務める伊藤)今人さんは私の退団公演の振り付けをしていただいています。なので、お久しぶりにご一緒できるなと楽しみにしております。ふぉ~ゆ~の皆さんとは初めてなのですが、同い年でいらっしゃるんですよ。きっとお互いに口にしなくても分かる、あうんの呼吸があるのだろうと思うので、そうしたチームワークを拝見できるのも楽しみです。

-最後に、公演に向けてのメッセージをお願いいたします。

 私がどこまで“女帝”になれているのか、ぜひ見に来ていただきたいと思います。本物の女帝の方、夜のお仕事をされている方にも! ホストという世界を描いた作品の中で、私と佐々木莉佳子さんが演じる茉莉花が違う色を出せるように頑張ります。重厚感や華やかさ、圧倒的な存在感が必要だと思うので、印象付けるお芝居ができたらと思っています。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 ふぉ~ゆ~ meets 梅棒「Only 1,NOT No.1」は、7月13日~8月3日に都内・日比谷シアタークリエ、8月9日・10日に岡谷鋼機名古屋公会堂で上演。

ふぉ~ゆ~ meets 梅棒「Only 1,NOT No.1」


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