【インタビュー】『関ヶ原』原田眞人監督 「この映画には、映画の面白さがいっぱい詰まっています」

2018年2月6日 / 12:00

-岡田准一、役所広司、平岳大ら、演じた俳優たちの印象はいかがでしたか。

 役所さんは同志だけど、今回は意外性のある役をやってもらうことにしました。家康は本来の彼のタイプではないけれど、岡田さんがあまりにも完璧に三成に合い過ぎているから、それに対する家康には意外性が欲しかったんです。だから僕の中ではとても楽な選択でしたが、役所さん本人はだいぶ悩んだようです。

 岡田さんは最初から積極的でした。実際の三成も馬術の達人であり、官僚としてだけではなく武将としての側面もあったと思うし、そういう意味では岡田さんは完璧な三成で、僕から注文することはほとんどありませんでした。一番の冒険は島左近役の平さんでした。慣れるまでに少し時間はかかりましたが、そこを乗り切った後は、お父さん(平幹二朗)譲りの風格が出てきて、一緒にやっていて楽しかったです。

-有村架純さんはいかがでしたか。

 有村さんは、原作の初芽のイメージには当てはまらないかもしれないけど、伸び盛りの個性が気に入ったので、今回はまず有村架純ありきで、彼女に合わせるような初芽に書き換えていきました。それから、関ヶ原にも関わるために、単なる間者として入り込むだけではなくて、行動できる、戦えるという女忍者にして、司馬先生が他の短編小説で描いている忍びの者のイメージを借りてきて付け加えました。だから原作とは違う初芽だけど、司馬遼太郎の世界の人物であることに変わりはないんです。

-今回は、脚本としてまとめる中で、キャラクターに対するご自分の思いを反映させた部分が多かったのでしょうか。

 そうですね。司馬先生の原作を高校生の頃に読んで感銘を受けた思いを膨らませながら書いたのですが、例えば、若い頃は戦線を離脱した脱走兵のようなイメージだった三成の、理にかなわないことはしないという心情が、自分が年を取るに従って分かってきたりして…。よくよく考えると、言わなくてもいいことを言ってしまう自分によく似ているなあとか(笑)。だから、どんどんと三成が理解できるようになってきたりしました。そういう意味では自分の気持ちを入れ込みやすかったです。家康の場合は、今までいろいろと語られてはいるけれども、それとはちょっと違うものにしようと考えました。

-では最後に、DVD化にあたって、改めて映画の見どころをお話し下さい。

 せりふが聞き取れなかったという人は、止めながら、じっくりと反すうしながら見てもらえればいいかなと(笑)。映画の面白さは人間を描くことですが、そこには比喩や隠喩があって、僕の好きな、黒澤(明)さん、小津(安二郎)さん、ハワード・ホークス、スタンリー・キューブリックといった監督の作品にはそれが豊富にあります。だから観客は彼らの映画を見て、自分なりの解釈がいろいろとできるわけです。実はこの『関ヶ原』にも、隠されたメッセージや、メタファーとして入れているものがたくさんあって、DVDには、そういうところを発見する喜びがあると思います。

 それから、ロケ場所と人物の絡みですね。今回は本当に理想的なロケ地が全て選べたのですが、そういう所は実は全て火気厳禁なんです。だからこの作品の場合は、ロケーションが良ければ良いほど、ろうそくの火は全てCGです。全カットのうちの約半分は何らかの形でCGを使っています。そうした今の映画ならではの面白さを見付けてもらえればと思います。あとは、一人一人のエキストラの表情に見えるハリウッド映画とは違った気力とか。そういうものは、DVDで何回も見ることでしか感じられないかもしれません。いずれにせよ「この映画には、映画の面白さがいっぱい詰まっていますよ」ということです。

(取材・文・写真/田中雄二)

(C)2017 「関ヶ原」製作委員会

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

八津弘幸 「豊臣兄弟!」本能寺の変は「僕と小栗旬さんの思いを込めた」脚本家が語る舞台裏【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年7月18日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合 毎週日曜 夜8:00~ほか)。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄の秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中だ。中盤のクライ … 続きを読む

内野聖陽、念願のリア役にかける思いとは 「リア王 -KING LEAR-」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年7月17日

 シェークスピア四大悲劇の一つ「リア王」が内野聖陽の主演で9月21日から上演される。舞台、映画、テレビと各方面で活躍し、硬軟・老若を問わず多彩な役柄を演じ分ける実力派の内野。ドラマ「ゴールドサンセット」の劇中劇で「リア王」を演じた経験と熱い … 続きを読む

唐田えりか「染谷将太さんのお芝居が衝撃的でした」コンビニ店を舞台にした異色ホラーで初共演『チルド』【インタビュー】

映画2026年7月16日

-堺と小河がファミレスで会話するシーンでは、染谷さんがほかのシーンとは別人のように生き生きとしていたのも驚きでした。  染谷さんのお芝居は、楽しそうなときも、わかりやすく楽しそうにするのではなく、せりふの間のちょっとした息遣いや一瞬のほほ笑 … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第26回「信長を笑わせろ!」 人間ドラマと華やかなエンターテインメントが一体になった大河ドラマならではのエピソード【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年7月10日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。7月5日放送の第26回「信長を笑わせろ!」では、小 … 続きを読む

花總まりがアガサ・クリスティに 失踪の謎を追うミュージカル「AGATHA(アガサ)」で「ミステリーの世界を体感していただけたら」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年7月9日

 イギリスを代表する推理小説家で“ミステリーの女王”と呼ばれたアガサ・クリスティが失踪した実話を元にしたミュージカル「AGATHA(アガサ)」が7月18日から上演される。本作は、アガサ・クリスティが失踪した11日間の謎を追う物語。現在(19 … 続きを読む

page top