【インタビュー】『関ヶ原』原田眞人監督 「この映画には、映画の面白さがいっぱい詰まっています」

2018年2月6日 / 12:00

 司馬遼太郎の原作を映画化し、興行収入23億円超えの大ヒットを記録した『関ヶ原』のBlu-ray&DVD 発売&レンタルが2月7日から開始される。発売を前に、原田眞人監督に映画に込めた思いや、見どころを聞いた。

原田眞人監督

-上中下巻にわたる原作を、2時間半にまとめるにはご苦労があったのではありませんか。

 最初は前後編でやるという話もあったのですが、興行的な事情で、一本にまとめたいということになり、原作の中で気に入っているシーンを落とさざるを得なくなりました。基本的には、(石田)三成(岡田准一)と(徳川)家康(役所広司)の対立の図式を中心にして、考えに考えた結果、本多正信のような、関ヶ原の合戦に直接参加しなかった人物は脇に置き、家康たちが関東の方に行くエピソードも全部カットすることにしました。それで、琵琶湖を中心に、西方を描いていけばいいという考え方で脚色しました。結果的に、それでうまくいったという感じはあります。

 そのために、ヒロインの初芽(有村架純)のキャラクターも少し作り変えて、合戦に参加する形にしましたし、『ゴッドファーザー』(72)の最初の結婚式のシーンのように、「序破急」の「序」として、三条河原の処刑シーンまでに主要な人物を全て登場させておいて、「破」に入るという考え方で処理しました。

-『関ヶ原』は、かつて3夜連続の超大作テレビドラマとして制作されましたが、あのドラマの存在は意識されましたか。

 あのドラマについては全く意識しませんでした。それよりも今回は『七人の侍』(54)にどれだけ近づけるか、ということを意識して作りました。また、『日本のいちばん長い日』(15)の時もそうでしたが、リメークを作るという気持ちは全くなくて、原作をいかに生かすかということと、無念の思いを残して死んでいった人たちを正当に描きたいという気持ちがありました。これは、以前の作品ができなかったことを補うという感じでしょうか。その意味では、今回の『関ヶ原』も『日本のいちばん長い日』と同じアプローチです。

-合戦シーンは大変見応えがありましたが、早口でせりふが聞き取りにくいという声もありましたが。

 それはおかしいんじゃないですかね。合戦の時は当然早口でしゃべるでしょうし、せりふを聞き取るということが、それほど重要なことなのか? とも思います。例えば『七人の侍』を見れば分かりますけど、当時は録音の技術も悪かったから、せりふが聞き取れない部分が多いですよね。だから当時の観客はせりふを聞くよりも、映画が描いた世界観を理解しようとしたんです。理解しようとすることで、映画の中に入り込んでいったわけです。その意味では、今の観客はあまり考えなくなっているのかもしれませんね。今回も、年配の観客で「あの世界を再現してくれてありがとう」と言う人が多かった。そういう気持ちの方が重要だと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

八木莉可子「相反する二面性をどちらも大切にしたい」「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」【インタビュー】

ドラマ2025年11月10日

 草なぎ剛主演の月10ドラマ「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜午後10時)。第3話で強烈なインパクトを残したゆずは(八木莉可子)の母(雛形あきこ)が、再びHeaven’s messenger … 続きを読む

目黒蓮が抱いた“継承への思い” 妻夫木聡、佐藤浩市から受け取った“優しさ”と俳優としての“居住い” 日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」【インタビュー】

ドラマ2025年11月9日

 日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」への出演発表時、“物語の鍵を握る重要な役どころ”という情報のみだった目黒蓮演じる謎の人物。そこから約2カ月、11月2日放送の第4話でようやくその正体の一端が解禁された。男の名は中条耕一、佐藤浩市演じる山王 … 続きを読む

堤真一、三宅唱監督「実はこういうことも奇跡なんじゃないのということを感じさせてくれる映画だと思います」『旅と日々』【インタビュー】

映画2025年11月6日

 三宅唱監督が脚本も手掛け、つげ義春の短編漫画『海辺の叙景』と『ほんやら洞のべんさん』を原作に撮り上げた『旅と日々』が11月7日(金)から全国公開される。創作に行き詰まった脚本家の李(シム・ウンギョン)が旅先での出会いをきっかけに人生と向き … 続きを読む

【映画コラム】俳優同士の演技合戦が見ものの3作『爆弾』『盤上の向日葵』『てっぺんの向こうにあなたがいる』

映画2025年11月1日

『爆弾』(10月31日公開)  酔った勢いで自販機を壊し店員にも暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男(佐藤二朗)。自らを「スズキタゴサク」と名乗る彼は、霊感が働くとうそぶいて都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。  やがてその言葉 … 続きを読む

福本莉⼦「図書館で勉強を教え合うシーンが好き」 なにわ男⼦・⾼橋恭平「僕もあざとかわいいことをしてみたかった」 WOWOW連ドラ「ストロボ・エッジ」【インタビュー】

ドラマ2025年10月31日

 福本莉⼦と⾼橋恭平(なにわ男⼦)がW主演するドラマW-30「ストロボ・エッジ  Season1」が31日午後11時から、WOWOWで放送・配信がスタートする。本作は、咲坂伊緒氏の⼤ヒット⻘春恋愛漫画を初の連続ドラマ化。主人公の2人を軸に、 … 続きを読む

Willfriends

page top