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レジェンダリー・ピクチャーズ製作のモンスターバースの第3作『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』が公開中だ。
前作『GODZILLA ゴジラ』(14)から5年後。極秘に怪獣の調査を行ってきた秘密機関モナークのエマ・ラッセル博士(ヴェラ・ファーミガ)と元傭兵の環境テロリスト・ジョナ(チャールズ・ダンス)らのたくらみによって、ゴジラをはじめとする太古の怪獣たちが目覚め、世界各地を襲う。その中には宇宙怪獣キングギドラもいた。
本作全体のテーマは、人間と怪獣との共生、あるいは“神獣”としてのゴジラや怪獣たちなのだろうが、まず、暴走するエマと、彼女と娘を救おうとする元夫でモナークの元メンバーでもあるマーク(カイル・チャンドラー)の行動原理がよく分からない。
というか、人間側の描写や設定があまりにも雑で閉口させられる。ただ、数ある日本のゴジラ映画にも、実はこうしたひどい話のものはたくさんあった。要は、怪獣映画とは、そうした人間ドラマの欠点を忘れさせるようなインパクトが怪獣たちの描写にあるかどうかが勝負なのだ。
その点、この映画は、監督のマイケル・ドハティのゴジラや怪獣たちへの熱い思いがあふれており、「怪獣映画を見た!」という気分にさせてくれる。すさまじい怪獣たちのバトルシーンの中に、対ギドラ戦でのゴジラとモスラの共闘、ラドンと戦闘機との空中戦、バーニングゴジラ…など、日本のゴジラシリーズへの敬意が数多く見られるからだ。
また、オリジナルの『ゴジラ』(54)につながる芹沢博士(渡辺謙)の役割、かつてゴジラの”中身”を演じた中島春雄への献辞などが、自分のような古くからのゴジラファンの琴線に触れるが、その白眉は伊福部昭(ゴジラ)と古関裕而(モスラ)の音楽の引用であった。もちろん伊福部ゴジラは素晴らしいが、今回は不意打ちで古関モスラを聴かされて思わず目頭を熱くした自分に驚いた。