宮藤官九郎「人間らしく生きる、それだけでいいんじゃないか」 渡辺大知「ドラマに出てくる人たち、みんなを好きになってもらえたら」 ドラマ「季節のない街」【インタビュー】

2024年4月26日 / 10:00

 宮藤官九郎が企画・監督・脚本を手掛けたドラマ「季節のない街」が、毎週金曜深夜24時42分からテレ東系で放送中だ。本作は、山本周五郎の同名小説をベースに、舞台となる“街”を12年前に起きた災害を経て建てられた仮設住宅のある“街”へと置き換え、現代の物語として再構築。希望を失った主人公が住人たちの姿に希望を見いだし、人生を再生していく青春群像エンターテインメント。

 主人公の半助こと田中新助役を池松壮亮が演じ、街の青年部を率いる親思いのタツヤ役を仲野太賀、街の近所に住む酒屋の息子で、好きな女の子目当てで街に出入りしているオカベ役を渡辺大知が演じる。このほど、宮藤と渡辺が取材に応じ、撮影時のエピソードや物語への熱い思いを語ってくれた。

宮藤官九郎(左)と渡辺大知 (C)エンタメOVO

-本作は、宮藤さんが20代の頃から切望していた企画とのことですが、制作に至った経緯や思いを教えてください。

宮藤 30年前、僕がまだ演劇を始める前に原作の小説と、その小説を黒澤明監督が映画化した『どですかでん』という作品に出合って、やみくもにエネルギーを感じました。その後、僕が『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(2019年)の脚本を担当した後にコロナ禍になり、世の中がストップしたときに、何かやり残したことがあるような気がして、この企画を提出しました。原作は昭和30年代に新聞小説で発表されて、親子や貧困の問題をテーマに扱っているのですが、普遍的だから通用しない話は一つもないなと思って。当時はスマホもない時代ですし、人間の生活スタイルは変わっていますが、根っこの部分は変わっていないので、今の人が見たらより刺さるのではないかなと思いました。

渡辺さんは、オファーを受けたときのお気持ちはいかがでしたか。

 渡辺 企画を聞いたときは、まだコロナ禍で鬱屈とした空気が流れている頃で、僕自身もまさにこういうドラマが見たかったと思わせてもらいました。登場人物たちが明るく生きているわけでも、暗く生きているわけでもなく、ただその日その日を人間らしく生きている姿が描かれた人間ドラマだったので、僕もそこに救われた気持ちになりました。

オカベという役柄については、どのように捉えて演じましたか。

 渡辺 僕は映画『どですかでん』を見たことがあったのですが、オカベは『どですかでん』の中では、そんなにフィーチャーされるようなキャラクターではなかったはずなのですが、なぜかすごく覚えていたので、なんで覚えていたんだろうというとこかろから考えました。このポジションのキャラクターが持っている魅力を、このドラマでも大事にできたらいいなと思いましたし、あまり前に出なくても、なんかあいつ覚えているな、みたいな存在感がある役になったらいいなと思いました。

宮藤さんは演出で心掛けられたことはありますか。

宮藤 仮設住宅のある“街”は茨城県の行方市に実際にオープンセットを作って、みんなで本当にそこに暮らしているかのように撮影できる環境を整えてもらえたので、それを何とか映像に残せないかなと思いました。最初は仮設住宅のプレハブの中のシーンはスタジオで撮影するものだと思っていたのですが、室内までセットを作っていただけたので、みんなが近所で実際に暮らしているような空気感が映るといいなと思いながら撮影して、結果、映ったような気がします。

(C)テレビ東京

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

岸井ゆきの「『死』をポジティブに捉えることで、人生を前向きに考えられる」患者の最期をみとる看護師役を通して芽生えた死生観「お別れホスピタル2」【インタビュー】

ドラマ2026年4月3日

 現代医療のセーフティーネットというべき療養病棟を舞台にした沖田×華のコミックを原作に、死を迎える人が最後に出会う人=看護師の目線で死と生を描いた「お別れホスピタル」。2024年に放送されたこのドラマの続編「お別れホスピタル2」が、4月4日 … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第12回「小谷城の再会」豊臣兄弟の運命を左右する出会い【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年4月2日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(=藤吉郎/池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。3月29日に放送された第12回「小谷城の … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(13)道真公左遷の地、太宰府天満宮で

舞台・ミュージカル2026年4月2日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。   ▼太宰府天満宮で神道 … 続きを読む

南沙良 香港との合作映画で本格アクション初挑戦!「とても楽しかったです」『殺手#4(キラー・ナンバー4)』【インタビュー】

映画2026年4月2日

 NHKの大河ドラマ「光る君へ」(24)で注目を集め、今年も続々と出演作が公開されるなど、今最も勢いのある若手俳優の1人・南沙良。さまざまな作品に意欲的に取り組んできた彼女が新たに挑んだのは、アクションの本場・香港との合作映画。  それが、 … 続きを読む

森崎ウィン「ギンギラギンの金を見ているだけで元気になれます」『黄金泥棒』【インタビュー】

映画2026年4月2日

 人生に退屈していた平凡な主婦が金(きん)の魅力にとりつかれ、100億円相当の金の茶わんを盗み出そうとする姿を描いたクライムコメディー『黄金泥棒』が4月3日から全国公開される。実在の事件から着想を得た本作で、主人公の主婦・美香子(田中麗奈) … 続きを読む

page top