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「お前は俺の弟子だ」という師匠は、実はあまりいないんじゃないかなと僕は思います。弟子が「師匠」と呼ぶから、必然的に「弟子」と呼ばれているだけなんじゃないかなという気がします。ついてくるから、「じゃあ、もういいよ」って。それを言葉で言うなら「弟子」なのかなと。この作品の製作発表のときに、(本作で高山三太を演じる松下)優也くんが「師匠はコウジヤマモト」と言ってくれていましたが、僕は別に彼と師弟関係を結んだわけではないですよ(笑)。でも彼が僕を師匠と呼んでくれた時点で、形としては師弟という構図になっているのだとしたら、それはそれでいいのかなとも思います。
別に後輩の方だからということではないですが、感性が面白い子は探してます(笑)。ただ、だからといって無理に距離感を縮めようと考えることはないです。優也くんはすごく珍しいタイプなんです。(ミュージカル「太平洋序曲」で共演した際に)同じ役を演じるダブルキャストだったので、一緒に舞台に立ったことがないんですよ。でも、稽古場では一番交流を持っていて、お互いに役作りについてもたくさん話して。そういう意味でも、僕にとってはただの後輩ではないので、面白い関係だなとは思います。
別に筋トレでコミュニケーションをとっているつもりはないんですけどね(笑)。ただ、舞台に立っている人はみんな、体を気にしていますし、かっこよくありたいと思っていると思うので、聞かれることは多いですね。なんだかんだ、みんな筋トレが好きなんで(笑)、それが結果的にコミュニケーションになっているんだと思います。
舞台は、僕にとって俳優としての引き出しをたくさん発見できた場所なので、なんとなく自分の出発点だという感覚はあります。今の僕ができあがった基礎は舞台だなと。ただ、若い頃はいくらでも動けたし、エネルギーの出しどころでもあったけれど、僕はもう47歳になるのでやっぱりしんどいんですよ。だから、最近は、舞台の良さとしんどさを同時に痛感してます(苦笑)。大変だからこそすばらしいものなんですけどね。舞台に立つと、コントロールが効かなくなって、マックスの力以上に突き抜けてやってしまうんですよ。もちろん8割の力でやれれば回数もできるんだろうけど、8割でやったらバレるのも舞台。決して映像が楽だというわけではないけれども、やはり毎回毎回を生の人間が演じ続け、収録だったらNGで止められるようなことが起きても止まることはできない舞台は大変ですし、映像にはない怖さも喜びもあるものだなと思います。正直なところ、いつまでやれるんだろうなとも思っています。氷室京介さんが、多くの人から求められていて、歌も完璧に歌えるのに、ちょっとした耳の不調で、歌うことをやめる選択をしたのを見て、自分はいつまでやれるのかなと、ふと思うときはあります。
確かにそうですし、続けたいという方はいらっしゃると思います。ただ、僕はそこまでしてやらなくてもいいのかなと思う部分もあります。僕自身は役者として「長く続ける」ということが目標となっているのかと言われたら、それは少し違うかな? と思っています。とはいえ、今は目の前のことに真摯(しんし)に向き合っていき、まずはこの作品を無事にやり遂げられたらと思います。
(取材・文・写真/嶋田真己)
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