山本耕史、舞台は「大変だからこそすばらしい」 「自分はいつまでやれるのかな」引き際を考えることも【インタビュー】

2023年10月1日 / 08:00

 NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の三浦義村やドラマ「ハヤブサ消防団」(テレビ朝日系)の中山田洋など、数々のドラマ・映画で存在感を発揮している山本耕史。10月8日から上演される音楽劇「浅草キッド」では、林遣都が演じる北野武の師匠・深見千三郎を演じる。本作は、ビートたけしがまだ何者でもなかった青年時代のとある夏に、のちの人生を決定づける師匠・深見と出会い、苦楽を共にした芸人仲間やたくましく生きるストリッパーたちと過ごした日々を描いた青春自伝小説を初舞台化した作品だ。山本に本作の見どころや役作りについて、共演の林の印象などを聞いた。

山本耕史 (ヘアメーク:西岡和彦/スタイリスト:笠井時夢) (C)エンタメOVO

ー今、山本さんが稽古を通して感じている深見千三郎の魅力は?

 この時代ならではの粋な人柄だなと思います。実は最初、台本には下品なことが面白いというその時代特有の流れを取り入れたコントをするシーンがあったのですが、僕は今の時代に今の人たちが見るんだから必要ないと思ったんです。そうした僕の意見をくみ取ってくれたのかは分かりませんが、今は“品のある下品”を作れているのかなと思います。その“品のある下品”が、深見さんのいなせな、“ナウい”感じなのかなと(笑)。(深見は)格好もやっぱり“ナウい”じゃないですか。「うるせえ」なんて言っているけれど、その背中がかっこいい。そんなイメージで(原作では)描かれているので、そう感じていただけるように演じられたらいいなと思います。

ービートたけしさんの原作は、映画化もドラマ化もされています。山本さんは、そんな本作を舞台化することにどんな魅力を感じていますか。

 僕は、映像はどちらも見ていないんですよ。今の時点で見てしまうと、良くも悪くも影響をされてしまうと思ったので、まずはまっさらな状態でやってみようと。なので、映像と比べることはできませんが、今回の台本を読んだときに「これはもう舞台の作品だ」と思ったくらい、舞台に向いている作品だと思います。終わり方も非常に良かった。昔、歌番組で演奏者もいない、何もない空間に歌手の方が立っていて、そこにスポットライトが当たって歌っている映像ってあったじゃないですか。まっさらな中にポツンと立っている。そんな景色が本読みをしたときに見えたんです。雑踏の中で、長屋暮らしをしているような雰囲気の作品なのに、最後には一人寂しくポツンと立っている武さんが見えたんです。もしかしたら、そんな状況で歌っている武さんの映像を見たことがあったのかもしれませんが。なので、現代っぽくもありながら、当時を感じさせる作品になると思います。

ー北野武さんにはどんな印象を持っていますか。

 僕は一緒にお仕事したことがないので、あくまでもイメージですが、色々な顔がある方だなと思います。着ぐるみを着て出てきて、ハチャメチャなことをすることもあれば、『座頭市』で見せたようなピリッとした姿もあり、『アウトレイジ』のような影がある役をやれば、本当にその世界を生きてきた人なんじゃないかという説得力がある。そんな武さんに深見さんが影響を与えていたとするなら、今の武さんをイメージして役作りをするのがいいのかなと思っています。ああ、これは武さんの話なんだなと、この作品を見た人にどこかで感じてもらえたらうれしいですね。

ー今回、林遣都さんが北野武さんを演じますが、林さんが演じる武さんをどう感じていますか。

 すごいですよ。ルックスは全然違うのに、武さんになっていますから。(林の)マネジャーさんに「まねしているの?」って聞いたら、「普段からこんな感じです」って言っていたので、もともと、そういう要素があるんでしょうね。武さんには見えないのに武さんなんですよ。すごくいい俳優さんなんだなと改めて感じました。役を自分に引き寄せるのではなく、歩み寄れる俳優なんだと思います。どんな役をやっても自分に引き寄せる俳優もいますし、その方がいい場合もあると思いますが、彼は自分から歩み寄るタイプ。この作品が彼の代表作になるんじゃないかなと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

ジェイソン・ステイサム ~絶滅危惧種のアクションスター~

映画2025年12月31日

自然体の魅力で今年もお正月の主役  もはや新年早々の風物詩になりつつある。ジェイソン・ステイサム主演のアクション映画のことだ。24年は『エクスペンダブルズ ニューブラッド』、2025年は『ビーキーパー』、そして今年26年は1月2日から『ワー … 続きを読む

寺西拓人 声優初挑戦は「とても刺激的で楽しい経験でした」 「マクロス」、「アクエリオン」シリーズの河森正治監督の長編アニメーションに出演『迷宮のしおり』【インタビュー】

映画2025年12月30日

 2026年1月1日全国公開となる『迷宮のしおり』は、「マクロス」、「アクエリオン」シリーズなどで知られる河森正治監督初のオリジナル長編アニメーションだ。  引っ込み思案な女子高生・前澤栞(声:SUZUKA(新しい学校のリーダーズ))は、親 … 続きを読む

織山尚大、芸能活動10周年を迎え「今のこの年齢で演じる意味がある」 舞台「エクウス」で3年ぶりの主演【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月29日

 映画『うちの弟どもがすみません』やドラマ『リベンジ・スパイ』など、数々の映画やドラマ、舞台で活躍する織山尚大の3年ぶりの主演舞台となる「エクウス」が1月29日から上演される。本作は、実際に起きた事件を基に描かれた、ピーター・シェーファーに … 続きを読む

【映画コラム】「2025年映画ベストテン」

映画2025年12月28日

 今回は、筆者の独断と偏見による「2025年公開映画ベストテン」を発表し、今年を締めくくりたいと思う。 【外国映画】  2025年公開の外国映画を振り返った時に、今年の米アカデミー賞での受賞作は最近の映画界の傾向を象徴するようで興味深いもの … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】家族の情緒が国境を越える、俳優ムン・ソリが語る「おつかれさま」ヒットの理由

ドラマ2025年12月26日

 今年のヒットドラマ、Netflixシリーズ「おつかれさま」。子どもから親へと成長していく女性の人生とその家族を描き、幅広い世代から支持され大きな話題を呼んだ。IU(アイユー)との二人一役で主人公エスンを演じたムン・ソリに、ドラマの振り返り … 続きを読む

Willfriends

page top