「許し合えるからこそ、本当の愛情が生まれるのではないでしょうか」比嘉愛未 『親のお金は誰のもの 法定相続人』【インタビュー】

2023年10月5日 / 07:00

 三重県伊勢志摩を舞台に、伝説の真珠をめぐる家族の大騒動と成年後見人制度の問題を描くハートフルエンターテインメント映画『親のお金は誰のもの 法定相続人』が、10月6日から全国公開される。本作で真珠の養殖業を営む大亀家の三女・遥海を演じた比嘉愛未に、映画のテーマや演技について聞いた。

比嘉愛未(ヘアメーク:AYA/スタイリスト:後藤仁子) (C)エンタメOVO

-最初に脚本を読んだ時は、どんな感想を持ちましたか。

 私のドラマデビュー作の朝ドラ「どんど晴れ」の脚本家でもある小松江里子さんの作品に再び主演として呼んでいただけて、すごくうれしかったです。成年後見制度という社会問題になっているテーマと、遺産相続と親子や家族との関係の難しさみたいなものを描く中で、それをあまりシリアスになり過ぎずに、時には軽快に踊る場面があったりもして、強弱と言いますか、幅がとても広い作品だなと思いました。物語が深くて難しいからこそ、伊勢志摩の自然がそれを調和させてくれると思いました。

-では実際に演じてみて、どう思いましたか。

 私の中では遥海を演じる難しさと苦しさがありました。なぜ難しかったかというと、遥海のことが分かり過ぎるからでした。私も上京する時に親に大反対されたんです。それで反対を押し切って出てきたので、絶縁したわけではありませんが、家族と離れて自分はここに来たという思いがありました。でも、自分も大人になって、いろんな経験を経て、改めて親の愛を感じたり、あの時、反対してくれたからこそ、今自分はここにいると思えるようになりました。そう思えるのは、私もあの時の親を許し、親も私のことを許してくれたからです。

 親子の関係は人それぞれですけど、親や家族との関係は、人間の一番の悩みではないかと思います。家族って、お互いを許し合えない限り、愛情を育めないと思うんです。(田中光敏)監督も「許しと愛がテーマだ」とおっしゃっていて、まさにその通りだと思います。なので、遥海を演じていた時は、過去の自分を見ているような苦しさがありました。終盤の方で彼女が変わっていくことによって、自分自身も癒やされた感覚がありました。

-前作の『吟ずる者たち』(21)は広島の酒蔵の話で、今回は伊勢志摩の真珠の話。比嘉さんは沖縄出身ですが、こうした、ある特定の地方を描いた映画に出ることについての感慨はありますか。

 たまたまご縁があって続いたんですけど、私はもともと地産地消のものが好きです。沖縄と広島と伊勢志摩に共通するのは島々があることですが、ほかにも、地元のものを愛している人たちがいて、物作りが盛んで、それを基盤にして生活をしているという、独特のエネルギーがあるんです。それを表現して届けるのが私たちの仕事ですので、とてもやりがいを感じながら演じていました。

-今回は伊勢志摩でのロケでしたが、土地の印象はいかがでしたか。

 1カ月間、とてもぜいたくな時間でした。役を演じるのは難しくて、つらかったですけど、素晴らしい自然が目の前にあって、食事も何を食べてもおいしくて、それが生きるエネルギーになりました。伊勢志摩は自然と人間がちゃんと共存しているところなので、そのバランスの良さが一番の魅力だなと思います。

-弁護士・城島役の三浦翔平さんと父親役の三浦友和さん。2人の三浦さんとの共演で印象に残っていることはありますか。

 遥海は、城島とも父とも距離があって反発し合っています。なので、撮影の最初の段階ではお二人とも、私とは距離を置いてくださいました。特に示し合わせてはいないんですけど、徐々に距離を縮めるための気遣いだったのだと思います。すごく感謝しています。友和さんとの共演は一つ一つが勉強になることが多かったです。大先輩で圧倒的なオーラはあるんですけど、それが全く威圧的ではなくて。友和さんが自然体でいてくださったので、変に緊張をすることもなく役に入れました。友和さんのお芝居やせりふの伝え方は、演じている感じではないんです。もう本当に役を落とし込んでいる。そこにお父さんがいるという感じでいてくださるので、私も引っ張っていただいた部分がありました。お父さんの役は、認知症の疑いもあるので口数が少ないんです。その中でも、表情やその場の空気感を全部作って、“友和さんワールド”にしてしまうんです。これは、本当のスターの方の天性のものなのか…。本物の役者さんってこういうことなのかということを学ばせていただきました。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

ミュージカル「メリー・ポピンズ」通算250回公演達成! 濱田めぐみ「長く長く上演していけたら」 大貫勇輔「毎公演、奇跡を起こせるように」

舞台・ミュージカル2026年5月5日

 ウォルト・ディズニーが映画化し、アカデミー賞5部門を受賞した映画を原作とした、ミュージカル「メリー・ポピンズ」。現在上演中の日本プロダクションが、5月6日に記念すべき250回公演を迎える。それに先立ち、メリー・ポピンズ役の濱田めぐみと、バ … 続きを読む

三山凌輝、「愛の不時着」でミュージカル初挑戦 「これまでのパフォーマンスの集大成でもある」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年5月3日

 元BE:FIRSTのメンバーで、朝の連続テレビ小説「虎に翼」でヒロインの弟役を演じて話題を集めた三山凌輝が、ミュージカル「愛の不時着」でミュージカル初主演を果たす。韓国の財閥令嬢と朝鮮人民軍軍人の国境を超えた愛を描いた本作は、2019年か … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第16回「覚悟の比叡山」“守られる側”の農民から“守る側”の侍になった小一郎と藤吉郎の覚悟【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年4月28日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=木下小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(=木下藤吉郎/池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。4月26日に放送された第16回「 … 続きを読む

ゆうちゃみ「るり子が現実にいたらめっちゃ親友になれそうやなっていう感じでした」『アギトー超能力戦争ー』【インタビュー】

映画2026年4月28日

 仮面ライダー生誕55周年記念作『アギトー超能力戦争ー』が4月29日から全国公開される。本作で主要キャストの1人である葵るり子を演じたゆうちゃみに、映画初出演への思いなどを聞いた。 -出演が決まった時の心境は?  「マジ、ドッキリ?」みたい … 続きを読む

千葉雄大、「映像の人」「舞台の人」という「垣根をなくしたい」 友近と挑む二人芝居・リーディングドラマ「老害の人」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年4月25日

 内館牧子によるベストセラー小説『老害の人』が、リーディングドラマとして舞台化される。出演者は、友近と千葉雄大の二人だけ。登場人物のすべてを、二人が自在に演じ分ける。  物語の主人公は、小さな玩具屋を大企業に育てた元社長の福太郎。老いてなお … 続きを読む

page top