坂井真紀、人生は学び「歳を重ねても、学ぶことは絶えなくて、だからこそ面白い」 舞台「橋からの眺め」【インタビュー】

2023年8月25日 / 08:00

ー本作の出演にあたって、「この作品に人生を強く感じた」というコメントを出していましたが、坂井さんにとって「人生」ってどんなものですか。

 修行と言うと重くなってしまうので、あえて「学び」とさせていただきます。歳を重ねても、学ぶことは絶えなくて、だからこそ人生は面白いなと思います。

ーそうすると人生の中で大切にされているのは「学ぶ」こと?

 そうですね。王貞治さんが「努力は必ず報われる」っておっしゃっていましたが、本当にそうだなと思います。今、53歳になり、達観する年代になったのかなと思ったら、全然違います。死ぬまで学び、そのために努力をすることで得られる喜びが尊い人生なのでは。ストイック?(笑)。

ーそうした努力を重ねている中で、疲れたときやどうにもならないときには、どうやって気持ちを切り替えているのですか。

 やっぱり、人に助けられています。家族や友人の笑顔だったり、みんなの頑張っている姿にも救われます。大谷翔平選手がホームランを打っている姿にも大きな活力をいただいていますよ。あと、心が疲れてしまうときって、人への感謝を忘れてしまっていることが多かったりします。だから、ひとつひとつ感謝することをあげていくと、あれ、私って意外とラッキーじゃないというところに行き着くんです(笑)。

ーでは、芝居をする上で、特に大切にしていることは?

 「役者はどこかで、自分と距離を持って見ていないとだめだ。自分が気持ちよくなって芝居をしたらだめなんだぞ」と緒形拳さんにおっしゃっていただいたことがあり、その言葉をお守りのように大切に持っていて、演じるときに思い出しています。しかし、役との距離感は本当に難しく、その言葉の重みと深さをいつも痛感しています。

ー俳優としてのターニングポイントとなった出会いを教えてください。

 緒形さんとの出会いももちろんですが、『銀河鉄道の父』という映画で、成島出監督とご一緒させていただいたことも大きな出会いになりました。キャリアだけは上がっていますが、できていないことも多いと思うんです。でもなかなか指摘されることは少ない現実があります。成島監督は、時間をかけて丁寧に、声の出し方やカメラの前でのあり方、台本の読み方を教えてくださいました。成島監督のおかげで、俳優としての意識が変わったことがたくさんあります。本当にありがたい時間でした。

ーこれから先、俳優としての目標やイメージしている未来像は?

 これまでさまざまな役を演じさせていただき、その恩返しという表現がふさわしいか分かりませんが、作品の中で自分の存在が確実な力となれればうれしいです。そして、自分しか出せない存在感のある俳優になりたいです。

ー改めて、作品の見どころを教えてください。

 走り出したら止まらない人間の感情の面白み、悲しみ、そして、人間臭さのある、情熱的な舞台だと思います。それらの人間の姿は、普遍的なものとしてあらゆる人の心に届くと思いますし、アーサー・ミラーの色あせない力強い戯曲の面白さをお届けできたらと思っています。ぜひ、劇場に足を運んでください。

 舞台「橋からの眺め」は、9月2日〜24日に都内・東京芸術劇場 プレイハウスほか、北九州、広島、京都で上演。

 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】時空を超えた愛の行方は『楓』『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』『星と月は天の穴』

映画2025年12月20日

『星と月は天の穴』(12月19日公開)  1969年。妻に逃げられ独身のまま40代を迎えた小説家の矢添克二(綾野剛)は、心に空いた穴を埋めるように娼婦の千枝子(田中麗奈)と体を交え、過去を引きずりながら日々をやり過ごしていた。しかし、画廊で … 続きを読む

北香那「ラーメンを7杯くらい食べたことも」天野はな「香那ちゃんのバレエシーンは見どころ」 「ラーメン」と「クラシック・バレエ」が題材のコメディーで共演 NHK夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」完成会見

ドラマ2025年12月19日

 12月19日、東京都内のNHKで、1月5日からスタートする夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」の完成会見が行われ、主人公・千本佳里奈(ちもと かりな) 役の北香那、佳里奈の親友・二木優美(ふたぎ ゆみ) 役の天野はながドラマの見どころを語ってくれ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(9)浅間神社で語る「厄よけの桃」

舞台・ミュージカル2025年12月18日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。  前回は、玉田家再興にあたり「三つ … 続きを読む

石井杏奈「人肌恋しい冬の季節にすごく見たくなる映画になっています」『楓』【インタビュー】

映画2025年12月17日

-実際に福士さんと共演してみていかがでしたか。  とてもすてきな方で、待ち時間にちょっとお話できたんですけど、すごく温厚な方でした。お芝居に関してはすごく真面目でストイックで、「このせりふはこうやって言ってみるのもありかも」というような優し … 続きを読む

染谷将太 天才絵師・歌麿役は「今までにない感情が湧きあがってきた」 1年間を振り返る【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月15日

-ご自宅でも絵の練習をされたそうですね。  台本が来るたびに絵を担当するチームとの打ち合わせがあり、練習用の絵が並んだ計算ドリルのようなプリントを数十枚いただくので、それを自宅に持ち帰り、宿題のように繰り返し描いて練習していました。 -歌麿 … 続きを読む

Willfriends

page top