坂井真紀、人生は学び「歳を重ねても、学ぶことは絶えなくて、だからこそ面白い」 舞台「橋からの眺め」【インタビュー】

2023年8月25日 / 08:00

坂井真紀

 1992年にドラマ「90日間トテナム・パブ」(フジテレビ系)で俳優デビューして以降、数々の映画やドラマなどで活躍している坂井真紀。9月2日から上演される舞台「橋からの眺め」では、伊藤英明が演じる主人公エディの妻ビアトリス役を務める。20世紀を代表するアメリカの劇作家アーサー・ミラーによる社会派ドラマの本作は、ニューヨークの貧民街を舞台に、最愛のめいをひきとり暮らす夫婦のもとへ違法移民のいとこを受け入れたことで一家に巻き起こる悲劇を描いた作品だ。坂井に公演への意気込みや俳優業への思いを聞いた。

ー本作は、ローレンス・オリヴィエ賞やトニー賞に輝いた、アーサー・ミラーの骨太な社会派ドラマです。坂井さんが本作の出演を決めた理由を教えてください。

 翻訳劇に出演するのは今回が初めてなのですが、脚本を読ませていただき、人間ドラマとしてとても面白く感じたのが理由の一つでした。それから、演出の方が海外の方というのも初めてでしたので、やったことがないことにチャレンジしてみたいという気持ちも大きかったです。

ーエディ一家とビアトリスのいとこたちの絡まり合った人間関係が描かれている作品ですが、この作品を今、届けることにどんな意義があると感じていますか。

 アーサー・ミラーがこの作品を書いたのは、もう何十年も前ですが、決して古くは感じないんですよ。それはもしかしたら、私が昭和の人間だからなのかもしれませんが(笑)。ですが、私たちの魂にあるものは普遍的だと思います。人間は面倒くさいけれどもいとおしい。そうやって進んでいくのが人生だということが伝わればいいなと思います。暑苦しい人間臭さは、普遍的なものだと思いたいです。

ー(取材当時)稽古がスタートしたばかりだと聞いています。イギリスの演出家ジョー・ヒル=ギビンズさんの演出を受けて、どんなことを感じていますか。

 私たちは考えていることや自分の意見をきちんと言葉にすることに慣れていないなと、ジョーさんと話していて感じます。例えばジョーさんから「あなたはどう思う?」「あなたとこの役はどんなところが似ている?」と言葉にすることを求められるんです。「似ているところというか、こんなところに共感できる」と答えると、(ジョーに)「共感できるところではなく、似ているところです」とつっこまれ。でも時間をかけて考えていくと、似ているところが見つかるんですよね。さらに、この役の人生の足りていない部分はなんだろう、目的はなんだろうと、順序立てて考えていき、その役のゴールを見つけてみるという役の組み立て方も新鮮な経験です。これまでは台本を読み込み、行間を大切に感じて演じていたところがあったと思いますが、台本を論理立てて分析し、きちんと自分の言葉にするという、役へアプローチ、とても面白く感じています。

 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

 戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田一義の戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が12月5日から全国公開された。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

多部未華子「学びの多い現場でした」DV被害者役に挑んだヒューマンミステリー「連続ドラマW シャドウワーク」【インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 WOWOWで毎週(日)午後10時より放送・配信中の「連続ドラマW シャドウワーク」は、佐野広実の同名小説を原作にしたヒューマンミステリー。  主婦の紀子は、長年にわたる夫の暴力によって自己喪失し、すべて自分が悪いと考えるようになっていた。 … 続きを読む

森下佳子「写楽複数人説は、最初から決めていました」脚本家が明かす制作秘話【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月1日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。これまで、いくどとなく視聴者を驚かせてきたが、第4 … 続きを読む

富田望生「とにかく第一に愛を忘れないこと」 村上春樹の人気小説が世界初の舞台化【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年11月30日

 今期も三谷幸喜の「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」に出演するなどドラマや映画で注目を集め、舞台やさまざまなジャンルでも活躍する富田望生。その富田が、2026年1月10日から上演する舞台「世界の終りとハードボイルド・ワンダ … 続きを読む

Willfriends

page top