濵田崇裕、「歌喜劇/~蘇る市場三郎 冥土の恋~」は「僕の代表作だと胸を張って言える」

2025年6月16日 / 12:00

 WEST.の濵田崇裕が主演する「歌喜劇/~蘇る市場三郎 冥土の恋~」が、6月30日から上演される。本作は、福田転球が脚本、河原雅彦が演出、濵田が主演を務める「市場三郎」シリーズの3作目。今回は、冥土を舞台に、三郎が女性と出会い、恋に落ちていく様子を人情味あふれるエンターテインメントとして描く。濵田に本シリーズへの思いや公演への意気込みなどを聞いた。

濵田崇裕【ヘアメイク:三田彩聖/スタイリスト:村田友哉(SMB International.)】 (C)エンタメOVO

-7年ぶり、シリーズ3作目の公演となりますが、公演が決まったときのお気持ちを教えてください。

 初演(2016年)からはおよそ10年経っていますし、今回は7年ぶりの作品となるので、新規のお客さんが付いてこられるのかなと心配ではありましたが、今回の台本を読んで、初めて見るお客さんも「そんなことあったんだ」と楽しんでいただけるのではないかと思っています。とにかくくだらないことに特化した作品なので、僕も楽しみにしています。

-濵田さんもこのシリーズをもう一度やりたいと思われていたと聞いています。

 はい、やりたいなと思っていました。演出の河原さんも「出演者の皆さんが元気な限りいけるぞ」とおっしゃっていたので「めちゃくちゃいいじゃないですか!」と話していました。

-そんな本作は、濵田さんにとってどんな存在ですか。

  僕の代表作だと胸を張って言えます。これまでで一番、くだらないことを全力でやっています。ですが、そこには河原さんとの稽古の時間と本気のぶつかり合いがあります。実は、僕の初座長公演だったので、(初演時には)こんなにもばかばかしい話なのに稽古で号泣してしまったんですよ。うまくいかなすぎて。それくらい思い入れのある作品ですし、いろいろ教えていただいた作品です。

-号泣してしまったという初演ですが、当時は、どんな心境だったのですか。

 めちゃくちゃプレッシャーを感じていましたし、ぎこちなかったと思います。(WEST.の)メンバーにどうすればいいのかを聞いたりもしましたが、とにかく緊張しかなかったです。初日の記憶はあまりないです。

-これまでのシリーズで思い出に残っていることは?

 常に笑いが絶えない現場ですが、初演のときは僕はひたすら苦戦して。稽古の二日目に嗚咽(おえつ)を漏らしてしまいました。大人になって初めて、Tシャツで顔面を隠しながら「うわぁ~」って声を出しながら泣いてしまって。今、考えたら河原さんもかわいそうでした。(河原は)「俺も泣かせたくないんだよ。嫌だよ、俺だって」って(笑)。でも、「かっこいい俳優さんはたくさんいるけど、芯までしっかり俳優と言えるくらいの人になってもらいたい。この先に年を重ねたときに『やっぱりあの人がいいよね』となってもらいたいから、俺は厳しくしている」と河原さんがおっしゃっていて今はそうして厳しくしていただけたことは本当に良い経験だったと思います。

-そうしたシリーズも今回で3作目になります。この「市場三郎」シリーズの面白さは?

 全てアカペラで歌って、効果音から波の音まで自分たちで音を出します。それが「歌喜劇」という新しいジャンルかなと思います。台本にせりふとして音符マークが付いているんですよ。でも、どんな歌なのかは聞かされていないんです。そんな中で、稽古の最初の日に本読みをするのですが、河原さんから「音符マーク付いているから歌ってください、どうぞ」と言われて(笑)。自分の番がきてしまったら、自分で音楽をつけて歌うしかない。台本に「波の音が入る」と書いてあったら、みんなで「ザザーン」と言ったりして(笑)。最初はカオスでした。そうやって全員で作っていくんです。もちろん、河原さんから「こうしよう」という演出もありますが、キャストみんなで意見を出し合いながら作っていくので、自分たちで作っていくという作業をしています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

 ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

北村匠海 連続テレビ小説「あんぱん」は「とても大きな財産になりました」【インタビュー】

ドラマ2025年9月12日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルにした柳井のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)夫婦の戦前から戦後に至る波乱万丈の物語は、ついに『アンパンマン』の誕生にたどり着いた。 … 続きを読む

中山優馬「僕にとっての“希望”」 舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~の再始動で見せるきらめき【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年9月11日

 中山優馬が主演する舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~が10月10日に再始動する。本作は、天藤真の小説「大誘拐」を原作とした舞台で、2024年に舞台化。82歳の小柄な老婆が国家権力とマスコミを手玉に取り、百億円を略取した大事件を描く。今 … 続きを読む

広瀬すず「この女性たちの化学反応は一体何なんだという、すごく不思議な感覚になります」『遠い山なみの光』【インタビュー】

映画2025年9月9日

 ノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロが自身の出生地・長崎を舞台に執筆した長編小説デビュー作を、石川慶監督が映画化したヒューマンミステリー『遠い山なみの光』が9月5日から全国公開された。1950年代の長崎に暮らす主人公の悦子をはじめ、悦子 … 続きを読む

Willfriends

page top