制作統括が語るこれからの見どころ「平家滅亡後は、鎌倉幕府内の争いと朝廷との戦いに」清水拓哉(制作統括)【「鎌倉殿の13人」インタビュー】

2022年5月8日 / 20:50

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。5月8日放送の第18回「壇ノ浦で舞った男」でついに平家が滅亡し、源頼朝(大泉洋)以下、源氏勢の悲願が達成された。主人公・北条義時(小栗旬)にとっても大きな目標だった平家打倒が実現した今、これから物語はどうなっていくのか。制作統括を務める清水拓哉氏が、今度の見どころを語ってくれた。

北条義時役の小栗旬 (C)NHK

-ついに平家が滅亡しました。今後の物語はどのように展開していくのでしょうか。

 これからは、鎌倉幕府という新政権の中でサバイバルレースが繰り広げられていくことになります。頼朝が自分の大目標を達成するため、身勝手な御家人たちをどのように従わせるのか。その問題に一つの答えを出したのが、第15回の上総広常(佐藤浩市)の粛清です。これは、全ての御家人たちに強烈な印象を残し、気を抜くと、いつ自分が次の上総広常になるか分からないという危機感をあおった。北条家も含めて、誰もが一つ間違えれば同じ目に遭うという状況の中、いかに自分たちが他の御家人を出し抜き、生き残っていくのか。それぞれが知恵を働かせていくことになります。

-壇ノ浦の合戦が終わったことで、武家社会が確立していく時代の変わり目にもなりそうですが。

 武家社会の成立という意味では、平家を滅ぼしただけでは終わりません。後白河法皇(西田敏行)が君臨する朝廷の存在は大きく、彼らにとってはまだ、武士は警察や軍隊のような存在に過ぎず、あくまでも自分たちの手足だと考えています。鎌倉側がこの問題とどう向き合っていくのか。これが、最終的に後鳥羽上皇(尾上松也)と鎌倉幕府が直接対決する承久の乱につながる大きなテーマになります。つまり、鎌倉幕府内の争いと、朝廷という大きな壁との戦い。平家滅亡後はこの二つの軸が絡み合いながら進行していくことになります。

-壇ノ浦の合戦で平家を滅ぼした後、「この先、私は誰と闘えばよいのか」とつぶやいた義経(菅田将暉)の今後も気になります。

 義経というのはある種、ものすごく危険な刃です。味方でいる間は非常に頼りになる存在ですが、戦う相手がいなくなった時、エネルギーを持て余す義経をどう扱えばいいのか。それを利用しようとする京の朝廷、そして義経を育んだ奥州の藤原秀衡(田中泯)。この両者と鎌倉の頼朝の間で、義経を巡る三角関係が展開していきます。

-まだまだ予断を許さない、という感じですね。ところで、ここまでの物語を振り返ると、コミカルな要素もあった序盤に対して、最近はだいぶシビアで重厚なムードに覆われています。今後はどうなっていくのでしょうか。

 シビアな話にはなっていきますが、急に「鎌倉殿の13人」らしいテイストが失われ、すべてが重苦しい物語になるわけではありません。今後も三谷(幸喜/脚本)さんらしい笑いはありますし、当初から“予測不能”とうたっているように、いわゆる“大河ドラマのお約束”に安住しない展開は維持していくつもりです。ただ、義時はこれまで自分が支えようと思って付いてきた頼朝という人の恐ろしさや、その右腕であることの恐ろしさに、第15回で気付いたはずです。逃げるに逃げられないそのプレッシャーと義時がどう格闘していくのかが、見どころの一つになります。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

伊藤淳史 大河ドラマ「べらぼう」で盛大な吉原の祭りに挑戦!「踊りの練習が大変でした」【「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

ドラマ2025年3月16日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。3月23日放送予定の第12回「俄なる、『明月余情』」では、吉原で盛大 … 続きを読む

本宮泰風 大河ドラマ「べらぼう」で伊藤淳史とダンスバトル!「刀で斬り合うくらいの勢いで」【「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」インタビュー】

ドラマ2025年3月16日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、快調に進行中。3月23日放送予定の第12回「俄なる、『明月余情』」では、吉原で盛大 … 続きを読む

松坂桃李「わが子に『一緒に考えてみよう』と言い続けると心に決めました」「御上先生」合同取材会

ドラマ2025年3月16日

 TBS系で好評放送中の日曜劇場「御上先生」。第9話の放送を前に主役の御上孝を演じている松坂桃李の取材会が行われた。 -今作に参加されてどんなお気持ちですか?  今作のようにメッセージ性の強い作品で、ギリギリなワードやせりふ、描写などを含め … 続きを読む

【週末映画コラム】パワーゲームを描いたミステリーとしても十分に面白い『教皇選挙』/幽霊の一人称視点で描いた新感覚のホラー『プレゼンス 存在』

映画2025年3月14日

『教皇選挙』(3月20日公開)  全世界に14億人以上の信徒がいるとされるキリスト教最大の教派・カトリック教会。その最高指導者で、バチカン市国の元首であるローマ教皇が亡くなり、新教皇を決める教皇選挙「コンクラーベ」に世界中から100人を超え … 続きを読む

田村芽実「この映画のすごいところはメッセージ性だと思います」『ウィキッド ふたりの魔女』【インタビュー】

映画2025年3月11日

 名作児童文学『オズの魔法使い』に登場する魔女たちの知られざる物語を描き、2003年の初演から20年以上にわたり愛され続ける大ヒットブロードウェーミュージカル「ウィキッド」を映画化した2部作の前編『ウィキッド ふたりの魔女』が3月7日から公 … 続きを読む

Willfriends

page top